経営者保証外しはそろそろ本気出したほうがいい

経営者保証外しはそろそろ本気出したほうがいい

新規融資のうち5割を超えて経営者保証が外されている、というデータがあります。だとすれば社長は、経営者保証を外すのにそろそろ本気を出したほうがいい。そのためのポイントをお伝えします。

目次

そろそろ本気を出したほうがよい

会社の銀行融資について、「経営者保証を外すことにはそろそろ本気を出したほうがいい」と考えています。経営者保証とは、会社が融資を受けるにあたり要する「社長の連帯保証」です。

以前は、経営者保証が付いているのがあたりまえでしたが、いまは違います。金融庁が公表しているデータによれば、新規融資のうち5割を超えて経営者保証が外されているのです。

「経営者保証に関するガイドライン」等の活用実績について
(リンク先は、金融庁のWEBサイトです)

でも別に、経営者保証が付いていても融資を受けられればかまわない。そうおもわれる社長もいるかもしれません。ですが、それは違います。経営者保証を外すことが主流になれば、経営者保証を外せない会社は融資が受けにくくなるからです。だとすれば、経営者保証を外せていない会社は、そろそろ本気を出したほうがよいとわかります。

そこで、経営者保証を外すためのポイントについてお伝えします。ぜんぶで3つ、次のとおりです。

  • 銀行選び
  • 業績アップ
  • BSを綺麗に

これらは、経営者保証を外せないとなぜ融資が受けにくくなるのかの理由にもかかわるところです。このあと順番に解説しますので、内容を押さえておきましょう。経営者保証をなおざりにして、融資が受けにくくなれば、いずれ資金繰りに窮してしまいます。

経営者保証を外すためのポイント

経営者保証を外すためには、会社のほうから銀行に対してはたらきかけることが欠かせません。経営者保証を外すのは銀行にとってリスクであるため、銀行のほうから経営者保証を外す提案をしてくれることは基本的にないものと考えましょう。

そのうえで、銀行に対してはたらきかけるときのポイントをお伝えしていきます。

銀行選び

経営者保証を外すためのポイント、1つめは「銀行選び」です。

さきほど、経営者保証を外すのは銀行にとってリスクだといいました。そのリスクに対する許容度は、リスクに対する姿勢は銀行によってさまざまです。同じ銀行であっても、新規融資のうち経営者保証無しで融資をしている割合には大きな差があります。

そのようすは、金融庁が公表しているデータからも読み取ることが可能です。

主要行等及び地域銀行の「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績等について
(リンク先は、金融庁のWEBサイトです)

だとすれば、会社はできるだけ「経営者保証を外すのに積極的な銀行」を選ぶのがよいとわかるでしょう。

なお、銀行としては、前述したデータのように実績を公表されたり、その前提に金融庁の意向(経営者保証を外せ!)もあることなので、「経営者保証をできるだけ外さなければ」とは考えています。

それでも、銀行によって大きな差があるのですから、経営者保証を外すにあたって銀行選びがポイントになるのです。前述のようなデータを参考にしたり、あるいは、取引銀行と直接話をするなかで、銀行の姿勢を確認するのがよいでしょう。

繰り返しになりますが、経営者保証を外す姿勢には銀行ごとに差があります。ゆえに、ある銀行から経営者保証を外すことを断られたとしても、別の銀行では受け入れてもらえることはあるのです。

業績アップ

経営者保証を外すためのポイント、2つめは「業績アップ」です。

文字どおり、自社の業績を上げることが、経営者保証を外すのためには欠かせません。経営者保証を外すのは銀行にとってリスクなのですから、自社の業績が悪いほど、銀行はリスクを嫌って経営者保証を外しづらくなります。

ゆえに、出せる利益を出し惜しむことなく、出せる利益はきちんと出すことです。「そんなのはあたりまえ」だとおもわれるかもしれませんが、納税をするのがイヤで、出せるはずの利益を減らしてしまう社長もいます(費用を増やして利益を減らす、とか)。

結果、経営者保証を外せなくなるようでは問題です。「でも、融資が受けられるのであれば、経営者保証は付いていたってかまわない」とおもわれるかもしれません。ですが、影響は融資そのものにまで及びます。つまり、経営者保証を外せないような会社は、融資自体が受けにくくなるのです。

銀行は金融庁に対して、経営者保証の状況を報告する義務があります。金融庁の意向(経営者保証を外せ!)もある以上、銀行はできるだけ経営者保証を外したい。実際に経営者保証を外すことができれば、前述したデータ「新規融資に占める経営者保証なしの融資の割合」の値も上がります。

いっぽうで、経営者保証を付けて融資をする場合はどうでしょう?

当然、データの値は下がることになります。これは金融庁の意向に反しているようにも見えてしまいますから、銀行としては避けたいところです。結果として、経営者保証を外せないような会社には融資を控える、という対応があっても不思議ではありません。

よって、業績アップは、経営者保証を外すためのポイントになります。

BSを綺麗に

経営者保証を外すためのポイント、3つめは「BSを綺麗に」です。

BSとは貸借対照表のことです。前述した「業績アップ」が利益を対象にしているのだとすれば、損益計算書の話でしたが、こんどは貸借対照表の話になります。言い換えると、損益計算書で利益が出ていても、貸借対照表に問題があると経営者保証を外しづらくなるということです。

たとえば、社長に対する貸付金が挙げられます。会社のおカネを、社長個人に貸し付けている。返済されるようすはなく、むしろ日に日に貸付金が増えている…といった状況だと、経営者保証を外すことは難しくなります。会社と社長個人のサイフがごっちゃになっている(公私混同)と見られるからです。

逆に、会社が社長個人からおカネを借りている場合も、問題になることがあります。社長個人のおカネがなければ資金繰りが回らないほど、収益力がない会社だと見られるからです。

貸借対照表を綺麗にするとは、銀行から見て余計な取引を増やさないということであり、取引発生の時点で「これはまずい」と気づけるかどうかが重要になります。仕訳(経理)をする時点で気づけるかと言い換えることもできるでしょう。

そのあたりをふまえて、銀行融資に関わる仕訳を1冊の本にまとめました。よろしければ、こちらも参考にしていただければとおもいます。

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損益計算書ばかり気にして、貸借対照表はあまり見ていないという社長はいるものです。経営者保証を外すにあたっては、貸借対照表にも目を向けるようにしましょう。

まとめ

新規融資のうち5割を超えて経営者保証が外されている、というデータがあります。だとすれば社長は、経営者保証を外すのにそろそろ本気を出したほうがいい。そのためのポイントをお伝えしました。

  • 銀行選び
  • 業績アップ
  • BSを綺麗に

これらは、経営者保証を外せないとなぜ融資が受けにくくなるのかの理由にもかかわるところです。経営者保証をなおざりにして、融資が受けにくくなれば、いずれ資金繰りに窮してしまいます。ポイントを押さえて、経営者保証を外せるようにしましょう。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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