税理士の愛用品として「電卓」をイメージする人もいるでしょう。ですが、僕はもう電卓を使っていません。代わりにExcelメインである理由についてお話をしてみます。
税理士界隈、電卓メインが多数派
僕は税理士です。
と言えば、税理士の愛用品として「電卓」をイメージする人もいるでしょう。事実、10年ほど前にさかのぼれば、電卓を使わずに仕事をするなど考えられませんでした。
さらに言えば、「こだわりの電卓」「よい電卓」を持つのがステータスとさえ考えていたフシがあります。いまはどうかといえば、電卓は使っていません。思い出の品として保管しているモノ以外は処分しました。
そんな僕にとって電卓の代わりは「Excel」です。なにか計算をするのであれば、まずはExcelを開く。環境的にExcelが難しいようであれば、スマホの電卓アプリを使います。
ちなみに、税理士界隈での「電卓利用状況」はどうなのだろう?と考えて、Xでアンケートを取ってみました。僕の力不足もありまして、回答総数は10と少数ではありますが(ご回答いただいた方、ありがとうございます!)。結果は以下のとおりです。
- ふつうの電卓メイン → 60%
- スマホの電卓メイン → 20%
- パソコンの電卓メイン → 10%
- Excelで計算メイン → 10%
よって、税理士界隈では「電卓メインが多数派っぽい」といえます。事前にChatGPTで推論してもらったところでは「7〜8割くらいでは?」との回答でしたし、やはり電卓メインは優勢なのでしょう。なお、僕と同じ「Excelメイン」は1割ということで、ごくごく少数派です。
以上のアンケート結果もふまえたうえで、「電卓はもう捨てたのかい?」と軽く煽りも入れつつ、なぜ僕が電卓メインではなくExcelメインなのかについてお話をしてみます。
なぜ、僕は電卓を使わないのか?
僕がなにか計算をするときに、電卓ではなくExcelをメインで使います。環境的にExcelが難しいようであれば、スマホの電卓アプリを使います。その理由は3つ、次のとおりです。
ミスの確認が困難
なぜ、僕は電卓を使わないのか?1つめの理由は、「ミスの確認が困難」だからです。
電卓は便利な道具ではあるものの、どうしてもミスが生じます。達人の域ともなれば、そのミスも少なくなるとはいえ、絶対にミスしないわけでもありません。僕は、よくミスってましたし。
すると、「あれれー、計算が合わないぞ…」となって電卓の打ち直しです。短い計算ならばマシですが、たくさんの数字を足し合わせる長い計算となればウンザリしますし、時間だってかかります。
電卓の不便なところは、どこでミスったかの確認が困難なところです。ミスったら、イチから計算し直さねばならない。はじめからやり直しというのは、なんとも非効率です。
いっぽうでExcelならばどうでしょう。たとえば、10個の数字を足し合わせる場合、10個の数字を10個のセルに入力して、SUM関数で合計すれば答えをえられます。答えがヘンだということになれば、10個の数字の入力を間違えていないか「目視」で確認可能です。
また、電卓のように、途中で「+」と「×」を間違えて入力してしまいやり直し…みたいなこともありません。そういう意味で、Excelは効率的なのです。
10個の数字を入力するなら「1回」でおわらせたいものでしょう。電卓の場合、入力をミスってしまえば、10個の数字を何回も入力するハメになりかねません。どこでミスったかの確認が困難だからです。これが、僕が電卓を嫌い、Excelを好む理由の1つになります。
二度手間が生じる
なぜ、僕は電卓を使わないのか?2つめの理由は、「二度手間が生じる」からです。
たとえば、何らかの税金を試算するとして、「いくつかの数字を加減算したあと税率を乗じる」ということがあります。これを試算のたびに、電卓で計算するのだとしたらメンドーです。
代わりに、Excelで計算式をつくっておいて、必要な数字を入力するだけの状態にしておいたらどうでしょう。たとえば、法人税試算用Excelシート(つまりテンプレ)をつくっておく、みたいなイメージです。
すると、入力ミスを減らせるのはもちろん、計算式を入力する必要もなくなるので効率的です。というようにExcelならば、よくやる計算はテンプレをつくっておくことで「計算の二度手間」を回避できます。
電卓メインよりExcelメインだと言うと、「わざわざExcelを開くなんてメンドーでしょう?」とおもわれるかもしれませんが。テンプレの威力は大きなものです。初回は多少の手間をかけてでも、テンプレをつくっておく価値はあります。
電卓を叩き続けるというのも、お手軽なようでいて地味にエネルギーと集中力とを奪われるものです。Excelのテンプレがあれば、そのあたりはかなり省力化できます。
スマホで事足りる
なぜ、僕は電卓を使わないのか?2つめの理由は、「スマホで事足りる」からです。
僕はExcelメインだと言いましたが、とはいえ、Excelが使えない環境や使いづらい環境はあります。そのときのために電卓を持ち歩くのもまた非効率です。結論、スマホの電卓アプリで充分です。
しかし、スマホだと電卓のように「押した感覚」がないし、早打ちができないとおもわれるかもしれません。だから、やっぱり打ちやすい電卓があったほうがいい。そうおもわれるかもしれません。ですが、そうやって打ちやすい電卓を手にすると、結局は電卓メインになってしまいます。
だから、打ちやすい電卓は危険だし、打ちやすい電卓こそ手放すのがおすすめです。
なお、僕が使っている電卓アプリ(iPhone用)は「計算機+ 式が見える電卓」というものです(広告アリなら無料)。このアプリがよいのは、計算過程がすべて残るところにあります。たとえば、「10+20+30+40+50」と入力したら、それがそのまま残されているのですね。
そのうえで、「20」ではなくて「25」だったということであれば、「20」をタップして修正することができます。なので、入力ミスを目視で確認できるのも便利だし、ピンポイントに修正できるのも便利です。もはや、ふつうの電卓よりも便利だろうとおもっています。
電卓も高価なモノを買えば、けっこうおカネがかかりますし、持ち歩くのだとすれば荷物が増えるのはデメリットです。この点、いつも持ち歩くスマホであれば解決します。
まとめ
電卓が税理士にとって必須アイテムだった時代もありましたが、以前よりも選択肢が増えたいまでは、必ずしも必須ではないでしょう。
僕が電卓を使わなくなった理由は、ミスの確認が難しく、二度手間が生じ、またスマホの電卓で十分事足りるからです。とくに、Excelのテンプレートを活用することで、効率的かつミスを減らし、作業時間を大幅に短縮もできます。
あたりまえに使っている電卓について、見直してみるのはいかがでしょうか?