決算が赤字だと融資はムリ?必ずしもそうではありません。銀行は赤字という「結果」より「未来」も見ているものです。銀行を納得させ、再生の道筋を示す「経営改善計画書」作成に不可欠な3つの勘所を解説します。
銀行は「赤字の今」より「黒字になる未来」を評価する
決算書が赤字だと、もう銀行融資は絶望的だ…とあきらめてしまう社長は少なくありません。たしかに、赤字は融資審査において大きなマイナス要因です。銀行は「利益=返済力」と見ているため、赤字の会社には返済力を認めにくいからです。
しかし、「赤字=即NG」と決まるわけではありません。銀行が本当に知りたいのは、「なぜ赤字になったのか」そして「これからどうやって立て直し、黒字化するのか」という未来への道筋です。
その答えを具体的に示すのが「経営改善計画書」です。とくに返済条件の変更(リスケジュール)を依頼する際には、この計画書がなければ交渉のテーブルにすらつけません。
とはいえ、ただ計画書を出せば良いわけではありません。銀行は、その計画が「絵に描いた餅」ではなく、「実現可能性が高い」かどうかを厳しく審査します。銀行を納得させ、支援を引き出すためには、社長が押さえるべき3つの「勘所」があるのです。
銀行が「実現可能性」を判断する3つの勘所
銀行は、計画書に書かれた「未来」を信じてよいか、その「根拠」を求めています。社長の覚悟と戦略を具体的に示す、以下の3点が極めて重要になります。
勘所1:「本当の窮境原因」を特定できているか
銀行がまず見るのは、社長が「なぜ今、会社が窮地に陥っているのか」を正しく分析できているかです。
ここでやりがちなのが、「コロナだから」「景気が悪いから」「円安だから」といった、外部環境のせいだけにしてしまうこと。これでは、銀行から「他責にしていて、当事者意識が低い」と見なされてしまいます。
もちろん外部環境も一因ですが、銀行が知りたいのは、社長自身がコントロール可能な「内部環境(弱み)」にこそ原因を見出しているか、です。たとえば、「旧態依然の事業に依存してきた経営体質」や「資金繰り管理の甘さ」「過度な節税による体力低下」など、自社の非を認め、課題を直視する姿勢が求められます。
本当の原因を特定できていなければ、正しい対策(改善策)は打てません。銀行は、社長が問題を客観的に把握し、自らコントロールできる課題に取り組む姿勢を評価するのです。
勘所2:「行動計画」が具体的で、実行可能か
次に銀行が見るのは、「どうやって黒字化するのか」という具体的な行動計画です。
ここでNGなのは、「売上アップをがんばる」「経費を徹底的に削減する」といった精神論や曖昧な表現です。これでは銀行は「どうせクチだけだろう」と判断します。
銀行を納得させる行動計画とは、「何を」「いつまでに」「誰が」実行するのかが明確になっているものです。たとえば、「不採算である〇〇事業から〇月までに撤退する(担当:XX)」「主要仕入先〇社と交渉し、〇月までに原価率を〇%改善する(担当:XX)」「社長自身の役員報酬を〇〇万円減額する(担当:XX)」といった、具体的で実行可能なプランです。
この具体的な行動計画こそが、数値目標の裏付け(根拠)となり、社長の本気度を示す何よりの証拠となります。
勘所3:「数値計画」が堅実で、根拠と整合しているか
行動計画とセットで、当然ながら数値計画(損益計画、資金繰り計画)も必要です。
しかし、ここで根拠もなく「来期から売上がV字回復します!」といった楽観的すぎる計画を立ててはいけません。銀行は計画と実績の対比を続けますから、実現不可能な計画はすぐに信頼を失います。
銀行が求めるのは、行動計画としっかりと連動した、堅実で保守的な数値計画です。社長としては「気持ちは楽観的に、計画は悲観的に」臨むべきです。無理のない、達成率8割以上を目指せる現実的なラインで計画を立てることが重要です。
また、損益計画だけでなく、「資金繰り計画(資金繰り表)」も必ずセットで提示し、リスケジュール期間中の資金ショートリスクがないことを証明する必要があります。
まとめ
決算が赤字であることは、たしかにピンチです。しかし、それは同時に、自社の経営課題と本気で向き合い、銀行との信頼関係を再構築するチャンスでもあります。
銀行は「赤字」という過去の結果よりも、「どう改善するか」という未来への具体的な計画性を評価します。
- 本当の窮境原因(内部要因)を特定する
- 具体的で実行可能な「行動計画」を示す
- 行動計画と連動した「堅実な数値計画」を立てる
これら3つの勘所を押さえた「経営改善計画書」こそが、銀行を納得させ、融資やリスケジュールといった支援を引き出す材料となります。
計画書の作成は簡単ではありませんが、それを通じて社長自身が自社の課題と本気で向き合うことこそが、会社再生への確実な第一歩になるはずです。

