「借入が増えると不安…」そんな思い込みをくつがえします。銀行からの「無担保・プロパー融資」の提案は、実はあなたの会社が「優良」である証拠です。
借入=悪ではない?銀行からの「最高評価」を見逃すな
「ウチの会社、借入金が増えてきたけれど大丈夫だろうか?」と不安に感じる経営者は少なくありません。ですが、銀行からの「無担保・プロパー融資」の提案は、あなたの会社が銀行から高く評価されている証拠であり、むやみに借入を恐れる必要はありません。
なぜなら、銀行はリスクを極端に嫌うからです。通常は担保や保証を求めてリスクを回避しようとしますが、それをせずに「無担保・プロパー」で貸し出すということは、銀行があなたの会社の返済能力を信頼し、倒産リスクが極めて低いと判断しているからです。
たとえば、信用保証協会の保証付き融資ばかりを受けていた会社に、銀行が「今回はプロパーでいかがですか」と提案してきた場合、それは銀行の評価が上がった明確なサインです。
ですから、「自社の決算がどう評価されているか知りたい」と思ったら、この「無担保・プロパー融資」の提案が来ているかどうかが、わかりやすいバロメーターとなります。
賢い社長は「借入残高」よりも借入の「質」を見る
では、なぜ賢い社長は借入残高を恐れず、むしろ積極的に借り入れるのでしょうか。その理由は、借入の「量」よりも「質」、そして「現預金とのバランス」を重視しているからです。具体的な3つの視点を見ていきましょう。
「借入が多い=危ない」という大きな誤解
「借金が多い会社は危ない」と考える人は多いですが、これは大きな誤解です。重要なのは借入の「量」ではなく「質」、そして「現預金・自己資本とのバランス」です。
なぜなら、借入金が多くても、それに見合うだけの厚い現預金を持ち、自己資本も充実している会社は、資金繰りに余裕があり、倒産しにくいからです。
たとえば、借入金が1億円あっても、現預金が1億円あれば、実質的な借金はゼロです。逆に、借入金が1千万円であっても、現預金がほとんどなければ、資金繰りは火の車でしょう。
ですから、資金繰りの視点では、「借入が多い=危ない」ではなく、「これだけの金額を信用だけで借りられる=銀行が高く評価している」という見方が先に立つのです。
「どこから借りているか」がお墨付きになる
借入の「質」を見極める上で、「どこから借りているか」も重要なポイントです。審査の厳しい金融機関からの借入は、会社の信用力を示す強力な「お墨付き」になります。
なぜなら、日本政策金融公庫の「中小企業事業」や「商工中金」といった機関は、審査のハードルが高く、粉飾決算などを見抜く目も鋭いと言われているからです。
これらの機関からプロパーで融資を受けられている事実は、「この会社はレベルの高い財務内容だ」という証明になり、他の金融機関からの評価も高まります。
ですから、こうした機関からの借入は、単なる資金調達だけでなく、会社の信用力を高める効果も期待できるのです。
恐れずに「手元資金」を厚くするメリット
「本業の儲け(営業利益)で支払利息を十分に賄えている」ことが大前提ですが、銀行が「無担保・プロパー」を提案してくるのであれば、前向きに借入を検討すべきです。
なぜなら、借入によって手元の現預金を厚くすることで、資金繰りの不安から解放され、経営の安定性が増すからです。
たとえば、予期せぬトラブルや景気悪化が起きても、潤沢な手元資金があれば、落ち着いて対応できます。また、あらたなビジネスチャンスが訪れたときに、すぐに投資できる体制を整えておくこともできます。
ですから、銀行からの「無担保・プロパー融資」の提案は、会社をより強くするためのチャンスと捉え、積極的に活用していくべきです。
まとめ
借入を考える際は、単に「残高の多さ」だけで良し悪しを判断せず、「中身(質)」と「手元の厚み(バランス)」を見ることが重要です。
- 「無担保・プロパー」の提案は、銀行からの「信頼の証」であり、会社が「優良」と評価されている証拠
- 危険なのは「借入が多い」ことではなく、「借入が多くて、現預金・自己資本が薄い」こと
- 審査の厳しい機関からのプロパー借入は、強力な「財務のお墨付き」になる
もし、あなたの会社に「無担保・プロパー融資」の提案が来ているなら、過度に借金を恐れる必要はありません。その範囲での借入は、事業をより強く、安定させるための選択肢として、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

