金利上昇時代、社長が捨てるべき「借金=悪」という常識。返済するより「薄める」が正解な理由

金利上昇時代、社長が捨てるべき「借金=悪」という常識。返済するより「薄める」が正解な理由

金利上昇時代、社長が持つべきは「借金=悪」という常識を捨てる勇気です。インフレを味方につけ、借金を「返さずに薄める」という新しい財務戦略についてお話しします。

目次

インフレになると、借金は実質的に「減る」

ニュースを見れば「金利のある世界」が戻ってきた、という話題ばかりです。
「いまのうちに固定金利に変えるべきか?」「借入を減らして、自己資本比率を高めるべきか?」と悩まれている社長も多いでしょう。

しかし、ここで少し視点を変えていただきたいのです。
実は、金利が上昇するインフレの局面こそ、 「借金に対する考え方を180度変えるチャンス」 でもあります。

「インフレになると、借金が実質的に減る」

この言葉、聞いたことはあってもピンとこない社長が多いかもしれません。
直感に反する話かもですが、これはこれからの時代、会社を守るための「重要な財務知識」になります。

少しだけ言葉を補って、解説します。

まず大前提として、銀行から借りた「1億円」という数字自体は、インフレになっても絶対に減りません。1億円は1億円のままです。

しかし、財務において重要なのは「金額」そのものではなく、その借金が会社にとって「どれくらいの負担(重さ)なのか」という 「比率」 のほうです。

インフレとは「モノの値段が上がること」です。
仕入れも高くなりますが、それ以上に自社商品の「値上げ」ができれば、会社の売上(年商)の数字は自然と大きくなります。

たとえば、極端な例ですがイメージしてみましょう。

  • 昔: 年商5億円のときの、借金1億円
    → 借金は年商の20%の大きさ(かなり重い岩)
  • 今: 値上げで年商が10億円になったときの、借金1億円
    → 借金は年商の10%の大きさ(片手で持てる岩)

このように、借金の額(1億円)は固定されたまま、会社の規模(売上)だけがインフレで膨らむため、相対的に借金の存在感が小さくなるのです。

デフレの時代は、放っておいても売上が上がらないため、借金はコツコツ返して減らすしかありませんでした。

ですが、これからは違います。

借金は、真面目に「返して減らす」のではなく、 会社の成長によって「薄めて小さくする」もの へと性質が変わったのです。

金利上昇時代を生き抜く3つのポイント

では、この「借金が薄まる」という現象を味方につけて、会社を成長させるためにはどうすればいいのか?
社長が意識すべきポイントは、以下の3つです。

  • 借入金利を気にしすぎてはいけない
  • すべては「値上げ」ができるかどうかに掛かっている
  • 借金は「返す」のではなく「薄める」

借入金利を気にしすぎてはいけない

「借金が薄まるのはわかった。でも、支払う金利が上がるのはイヤだ」

そうおもわれるかもしれません。しかし、ここでも冷静な計算が必要です。

仮に借入金利が1%上がったとしましょう。1億円の借入なら年間100万円のコスト増です。
いっぽうで、インフレに伴って自社の商品・サービスを適切に値上げし、売上が10%伸びたとしたらどうでしょうか?

その利益の増加分は、金利コストの上昇分を遥かに上回るはずです。

加えて、金利が上昇局面にあるのなら、いま借りておくことで、将来よりも低い金利で長期間資金を確保できるわけです。あとになって「あのとき借りておけば…」と後悔するよりも、借りられるいまのうちに手元を厚くしておくほうが、よほど合理的だと考えています。

金利上昇局面では、どうしても「支払利息」という目に見えるコストに意識が向きがちとなります。

ところが、 「金利を払ってでも、それ以上に現金の価値を目減りさせず、事業に投資してリターンを得る」 ことのほうが、資金繰り上のインパクトは大きいのです。

目先の金利数パーセントを気にして、必要な投資や借入を躊躇することこそ、インフレ時代のリスクと言えるかもしれません。

すべては「値上げ」ができるかどうかに掛かっている

ここまで「借金は薄めればいい」「金利は気にするな」とお伝えしてきましたが、これらを実現するためには、たった一つ、絶対に外せない条件があります。

それは、 「自社商品やサービスの値上げを、避けずに行うこと」 です。

借金が「薄まる」のは、インフレに合わせて会社の売上規模が大きくなるからです。

もし、世の中の物価や金利が上がっているのに、自社の価格だけ据え置いてしまえば、ただコストが増えて苦しくなるだけです。これでは借金は「重い岩」のままです。

「値上げをしたら客離れが起きるのではないか」という恐怖心はあるとおもいます(僕もビビりなので、その気持ちは痛いほどわかります…)。

ですが、いまは世の中全体がインフレに向かっています。お客さまも価格改定への理解度が以前とは比べ物にならないほど高まっています。

堂々と値上げをし、売上の桁(ケタ)を大きくすることです。そうすることで初めて、インフレと金利上昇を味方につけることができます。

借金は「返す」のではなく「薄める」

デフレ時代は、借金が「悪」とされがちでした。

しかし、インフレ時代において、借金は最強の「武器」になり得ます。

手元の現金預金を減らしてまで、繰り上げ返済をする必要はありません。むしろ、借りられるときに借りておき、そのおカネを使って事業を成長させ、売上を大きくする。

そうすれば、借金は返さなくても、勝手に小さくなっていきます。

「真面目に返して減らす」から、「成長して薄めて小さくする」へ。

この「頭の切り替え」ができる社長は、インフレ時代も味方につけて資産を築きやすくなるはずです。

まとめ

これからの時代の社長に求められるのは、手元の現金預金を減らしてまで繰り上げ返済することではありません。

借金を一生懸命減らそうとするのではなく、 会社を成長させて、借金の方から勝手に小さくなってもらう という発想の転換です。

  • 借金は返さずに「薄める」
  • 金利コスト以上に「成長」を優先する
  • そのために、堂々と「値上げ」をする

この3つのサイクルを回せる会社こそが、金利上昇時代を強く生き抜いていけます。ぜひ、自社の財務戦略と価格戦略を、この視点で見直してみましょう。

ちなみに、今回の話のキモとなる「値上げ」については、銀行融資の審査においても重要なポイントになります。つまり、値上げをできる会社は銀行からも高く評価されるということです。

自社の財務戦略や銀行対応について、より具体的に相談したい方は こちら(個別相談) もご活用ください。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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