社長が意外とわからないプロパー融資を受けるコツ

社長が意外とわからないプロパー融資を受けるコツ

銀行融資を受けるなら、「プロパー融資を受けたい」と考えるのが社長です。ところが、その社長が意外とわかっていない、プロパー融資を受けるコツがあります。

目次

社長が意外とわからない

銀行融資を受けている会社の社長であれば、「プロパー融資を受けたい」と考えていることでしょう。もし考えていなければ考えましょう。プロパー融資が受けられないということは、保証付き融資しか受けられないということであり、それではダメな理由は別記事に書きました。

とはいえ、プロパー融資を受けたいからといって、必ずしも受けられるわけではありません。その原因として、「実は、社長が意外とプロパー融資を受けるコツをわかっていない」ことが挙げられます。本記事の結論としてコツは3つ、具体的には次のとおりです。

  • 銀行選びを間違えない
  • 利益を出し惜しまない
  • 保証付き融資を活かす

このあと順番に説明をしていきます。これらのコツがわからずにいると、社長がいくらプロパー融資を受けたくても暖簾に腕押し。銀行に交渉したところで、いっこうにプロパー融資をしてもらえない…ということになりかねません。

プロパー融資を受けるコツ

プロパー融資をできるだけスムーズに受けられるように、プロパー融資を受けるコツを押さえておきましょう。社長が「意外とわかってない」ところなので、十分に注意が必要です。

銀行選びを間違えない

プロパー融資を受けるコツ、1つめは「銀行選びを間違えない」です。ひとくちに銀行といっても、いろいろあります。都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合など、それらのうちどこから融資を受けようとするかで、プロパー融資の難易度が変わることはご存知でしょうか。

端的にいえば、規模が大きな銀行ほど難易度は上がります。つまり、難易度が高い順に「都市銀行→地方銀行→信用金庫・信用組合」です。これを理解したうえで、会社がプロパー融資を受けようとするにあたり、どの銀行を選べばよいのか。「目安」は次のとおりです。

  • 年間売上高1億円未満の会社 → 信用金庫・信用組合
  • 年間売上高1億円超、数十億円未満 → 地方銀行
  • 年間売上高数十億円超 → 都市銀行

したがって、多くの中小企業は、信用金庫・信用組合または地方銀行を選ぶのがよいとわかります。言い換えると、都市銀行を選んではいけないということです。

そもそもプロパー融資は、銀行にとってリスクが高い融資にあたります。保証付き融資のように信用保証協会の保証がなく、会社が返済できなければ銀行がすべての損をこうむることになるからです(保証付き融資であれば、信用保証協会が肩代わりしてくれる)。

都市銀行はもともと大企業向けの銀行であり、わざわざリスクをとって中小企業にプロパー融資をしなくても、大企業にプロパー融資をすることで商売が成り立ちます。大企業は中小企業に比べれば財務の安全性も高く、だとすれば都市銀行が中小企業に融資をする道理もないのです。

以上をふまえて、中小企業がプロパー融資を受けるのであれば、自社の規模(目安は年間売上高)にあわせて、信用金庫・信用組合または地方銀行を選びましょう。

利益を出し惜しまない

プロパー融資を受けるコツ、2つめは「利益を出し惜しまない」です。利益を出し惜しむと、プロパー融資は受けにくくなります。いやいや、利益を出し惜しんだりはしないとおもわれるかもですが。決算近くになって、いざ税金の額を考えると利益を出し惜しむ社長が少なくありません。

つまり、費用を増やすことで利益を減らして、税金を減らそうと考える社長がいます。ところが、銀行にとっては、「利益=返済力」です。社長が減らした利益の分だけ、会社は返済力を失います。返済力を失うことで、プロパー融資が受けにくくなるわけです。

そもそもプロパー融資は、銀行にとってリスクが高い融資だといいました。ゆえに、プロパー融資を受けるには、利益が多ければ多いほどよいことは理解しておきましょう。プロパー融資を受けたいのに、社長が利益を出し惜しむようではいけません。

今後は、融資金利の上昇が予想されるところです。すると、返済負担の増加によって、いままで以上に返済が厳しくなることから、プロパー融資の審査も厳しくなります。利益の重要性は、これまで以上に高まるということです。

ちなみに、利益を出し惜しむときのデメリットは、プロパー融資が受けにくくなるだけではありません。ひとつの目安として、出し惜しむ利益のおよそ7倍ほど、借入可能額が少なくなるものと考えましょう。100万円の利益を出し惜しめば、700万円の融資が受けられなくなるかもしれないということです。

100万円の利益を出し惜しむことで得られる節税効果は、およそ30万円(法人税率が30%とすれば)。30万円と引き換えに、700万円の融資を失い、プロパー融資も失うのでは代償が大きすぎるというものです。節税はほどほどに、出せる利益は惜しまずに出すことを考えましょう。

保証付き融資を活かす

プロパー融資を受けるコツ、3つめは「保証付き融資を活かす」です。プロパー融資を受けるときには、保証付き融資が必要になることを覚えておきましょう。

繰り返しになりますが、プロパー融資は、銀行にとってリスクが高い融資です。よって、リスクが低い保証付き融資と「組み合わせる」ことで、銀行はプロパー融資を出しやすくなります。このとき、保証付き融資には「限度額」があるのがポイントです。

いわゆる一般保証で、無担保の融資であれば、制度上の限度額は8,000万円とされています(会社の規模や業況によっては、8,000未満になることも)。

これを受けて、はじめてプロパー融資を受けるような場合には、銀行側のリスクを下げるために「いちぶは保証付き融資でもかまわないので、プロパー融資も出してほしい」などと伝えるのがセオリーです。ところが、保証付き融資がすでに限度額に達している場合、それができません。

こうなると、あらたにプロパー融資を引き出すのは困難です。よって、保証付き融資を受けるときにも、ただただ保証付き融資ばかり受けることがないように気をつけましょう。つまり、保証付き融資を受けるのであれば、プロパー融資を出してくれるであろう銀行から受けることです。

プロパー融資を出してくれるであろう銀行とは、前述したとおり、自社の規模にあわせて、信用金庫・信用組合または地方銀行のいずれかを指します。少なくとも、都市銀行ではありません。

中小企業の場合、都市銀行から融資は受けられても保証付き融資ばかりであり、保証付き融資をいくら受けてもプロパー融資まではしてくれないことがほとんどだからです。なんにせよ、プロパー融資を受けるのであれば、保証付き融資(の限度額)を活かすことを考えましょう。

まとめ

銀行融資を受けるなら、「プロパー融資を受けたい」と考えるのが社長です。ところが、その社長が意外とわかっていない、プロパー融資を受けるコツがあるので押さえておきましょう。

  • 銀行選びを間違えない
  • 利益を出し惜しまない
  • 保証付き融資を活かす

これらのコツがわからずにいると、社長がいくらプロパー融資を受けたくても、いっこうにプロパー融資が受けられない…ということになりかねません。銀行にプロパー融資を交渉するにも、やみくもに交渉すればよいわけでもなく、コツの理解と実践が必要です。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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