会社が銀行融資を受けたいのであれば、銀行選びが重要となります。その銀行選びを間違えると融資は難しくなるばかりです。そこで、社長が押さえておくべき銀行選びのポイントをまとめます。
入口を間違えると苦労する
会社が銀行融資を受けたいのであれば、銀行選びが重要となります。ひとくちに銀行といってもいろいろであり、銀行ごとに差があるからです。ゆえに、選ぶ銀行によって融資が受けやすくなったり、受けにくくなったりすることがあります。
銀行選びは、銀行融資を受けるにあたって「入口」にあたるものであり、その入口を間違えれば融資は難しくなるばかりです。ところが、銀行選びを間違えたまま、融資を受けようとしている会社があり、うまく融資が受けられずに苦労している会社があります。
そこで、銀行選びのポイントを確認することにしましょう。次の3つです。
- 大きな銀行はできるだけ避ける
- 自社に合った方針の銀行を探す
- 業績はよいに越したことはない
これら3つのポイントを押さえることで、銀行選びにあたって、社長がどのように動けばよいかがわかるようになります。
銀行選びのポイントまとめ
ひとくちに銀行といってもいろいろです。いろいろある銀行のなかから、どこを選べばよいのか?どこを選ぶと融資が受けやすくなるのか?社長が押さえるべき3つのポイントにまとめました。このあと、それぞれのポイントについて詳しくお伝えしていきます。
大きな銀行はできるだけ避ける
銀行選びのポイント、1つめは「大きな銀行はできるだけ避ける」です。大きな銀行ほど、融資の難易度は上がります。一番大きな都市銀行が一番難易度が高く、次に大きな地方銀行が次に難易度が高く、一番小さな信用金庫や信用組合が一番難易度が低くなるイメージです。
そこをふまえて、自社の規模感に合った銀行を選びましょう。目安として、年間売上高1億円未満の会社は信用金庫や信用組合を選ぶ、1億円を超えたら地方銀行ともお付き合いをはじめます。都市銀行とお付き合いをはじめるのは、年間売上高が10億円を超えてからでよいでしょう。
ところが、年間売上高が数千万円の会社が、都市銀行から融資を受けようとしているケースがあります。これはミスマッチであり、おすすめできません。
都市銀行は大企業向けの銀行であり、中小零細企業にとって難易度が高い銀行だからです。融資を受けられることはあっても、保証付き融資が前提になります。結果、いくら保証付き融資を受けても、プロパー融資を受けられないのであれば会社にとってはデメリットです(別記事参照)。
とはいえ、会社が置かれている環境もあります。自社の周辺を見渡しても信用金庫がない、地方銀行や都市銀行しかない、ということもあるでしょう。ですから、あくまで「大きな銀行はできるだけ避ける」との考え方になります。銀行を選べる環境があるにもかかわらず、自社の規模感から見て大きすぎる銀行から融資を受けようとしたりしないことです。
自社に合った方針の銀行を探す
銀行選びのポイント、2つめは「自社に合った方針の銀行を探す」です。各銀行には各銀行の方針があり、その方針は銀行ごとに異なります。横並びといわれる銀行業界ですが、金融庁からの要請もあって、各銀行の独自性(=方針の違い)が強まる傾向にあるのがいまです。
したがって、自社が同じタイミングでA銀行とB銀行に融資を申し込んだときにも、A銀行では断られたけれど、B銀行では融資が受けられたということも起きます。さらにいえば、A・B両方の銀行から融資を受けられたとしても、A銀行は経営者保証ありで、B銀行は経営者保証なしといった融資条件の違いが生じることもあるでしょう。各銀行の方針の差によるところです。
だとすれば、自社に合った方針の銀行を探すのがよいとわかります。各銀行の方針については、各銀行のWEBサイトを確認したり(たとえば、「原則、経営者保証はとらない」などと記載されている)、ディスクロージャー誌(ネットで閲覧可能)に目を通してみるのがおすすめです。
1つの銀行だけではなく、複数の銀行の方針を確認してみましょう。「比較」をすることで、各銀行の違いをつかみやすくなります。そして、各銀行の方針に違いがあるからこそ、会社はふだんから複数の銀行とお付き合いをしておくことが大切です。前述したように、A銀行で融資を断られたとしても、B銀行からは融資を受けられるかもしれないという選択肢ができます。
この点、銀行とのお付き合いのなかで気に食わないことがあると、すぐに関係を断とうする(繰上げ返済したり、他行で借り換えしたりする)社長がいますが得策ではありません。いうまでもなく、選択肢を1つ失うことになるからです。気に食わないのだとしても、ゆるくでもお付き合いを続けておくのがよいでしょう。
業績はよいに越したことはない
銀行選びのポイント、3つめは「業績はよいに越したことはない」です。それぞれの会社の業績がさまざまであるように、それぞれの銀行の業績もさまざまです。融資の受けやすさを考えれば、銀行の業績はよいに越したことはありません。
業績のよい銀行ほど、融資には積極的です。逆に、業績が悪い銀行は融資に消極的となります。利益が少ない銀行はリスクをとりづらくなるので、融資には慎重にならざるをえません。また、預金が少ない銀行は、貸出原資が少ないということであり、融資がしづらくなります。
各銀行の利益や預金の状況についても、ディスクロージャー誌で確認をしてみましょう。やはり、複数の銀行の業績を比較することで、各銀行の業績の良し悪しがわかりやすくなるはずです。少なくとも、自社がお付き合いをしている銀行の業績は確認しておくことをおすすめします。
なお、銀行の業績を確認するにあたっては、金融庁が公表している「中小・地域金融機関情報一覧」が参考になります。全国の銀行が一覧になっていて、預金や貸出金、自己資本比率や中小企業向けの貸出状況、ディスクロージャー誌のURLなどが、エクセルでまとめられているので便利です。
預金や貸出金は「銀行の規模」を示す情報であり、前述した1つめのポイント「大きな銀行はできるだけ避ける」を実践するうえでも役立ちます。同じ地方銀行、同じ信用金庫であっても、規模には大きな差があるもので、地方銀行や信用金庫でひとくくりにはできないこともわかるでしょう。信用金庫のなかにも地方銀行並みに大きな規模のところもあるし、信用金庫並みに小さな地方銀行もあるというkとおです。
まとめ
会社が銀行融資を受けたいのであれば、銀行選びが重要となります。その銀行選びを間違えると融資は難しくなるばかりです。そこで、社長が押さえておくべき銀行選びのポイントをまとめました。
- 大きな銀行はできるだけ避ける
- 自社に合った方針の銀行を探す
- 業績はよいに越したことはない
これら3つのポイントを押さえることで、銀行選びにあたって、社長がどのように動けばよいかがわかるようになるはずです。