金利が上がっても利息を気にせず銀行借入

金利が上がっても利息を気にせず銀行借入

金利が上がっても利息を気にせず銀行借入をするにあたって、必要な考え方をお伝えします。その考え方ができないと、資金繰りを悪くしかねませんので注意が必要です。

目次

金利が上がっても銀行借入

会社の資金繰りについて、金利が上がっても銀行借入をしましょう。金利が上がっても利息を気にしなくてもよいからです。

いやいや、そんなバカな。と、おもわれるかもしれませんが、金利が上がることに対しても、銀行に支払う利息に対しても、過度に気にしすぎている社長は少なくありません。利息を気にしなくてもよいというのは事実でもあり、考え方の問題でもあります。考え方を見直しましょう。

金利が上がっても利息を気にせず銀行借入をするにあたって、必要な考え方はぜんぶで3つ。次のとおりです。

  • 納税額が減る
  • 値上げをすれば
  • 関係性をよくする

これらの考え方ができないと、利息の支払いを過度に惜しむことになり、金利が上がるからといっそう利息の支払いを惜しむこととなり、銀行借入を遠ざけた分だけ資金繰りを悪くしかねません。

利息を気にせず銀行借入、その考え方

金利が上がっても利息を気にせず銀行借入を、という話をしました。とはいえ、利息の支払いを惜しむものであり、その結果として、必要なはずの銀行借入をも遠ざけます。これを避けるために、利息を気にせず銀行借入の考え方を身につけましょう。

納税額が減る

利息を気にせず銀行借入の考え方、1つめは「納税額が減る」です。銀行に利息を支払うと納税額が減ります。なお、ここでいう納税額の対象は「法人税」です。

そもそもの話として、利息の支払いは「経費」であり、利息を支払った分だけ「利益」が減ります。利益が減れば、その分だけ納税額も減ることはわかるでしょう(法人税=利益×税率なので)。つまり、利息の支払いには「節税効果がある」ということです。

今後、世の中の金利の上昇とともに、借入金利が上がって3%になったとします。このとき、法人税率が30%だとすれば、実質的な借入金利は「3%−(3%×30%)」で2.1%に過ぎません。にもかかわらず、「3%は高い!」と過度に金利を高く見ている社長がいます。気をつけましょう。

ただし、そのような節税効果を得られるのは、会社が納税をしているときに限ります。言い換えると、利益を出している会社に限られます。逆に、利益が出ていない赤字の会社は、そもそも納税額がありませんから節税効果を得られません。

とはいえ、会社は「黒字を前提(赤字にしよう!などと考える社長はいない)」にするものであり、利息の節税効果を期待するのはおかしな話ではないはずです。見た目の金利だけで考えるのではなく、節税効果もふまえて金利を考えられるようにしましょう。利息を気にせず銀行借入、という考え方につながります。

値上げをすれば

利息を気にせず銀行借入の考え方、2つめは「値上げをすれば」です。金利が上がったとしても、その分の値上げをすれば、利息を支払うことに問題はありません。

年商1億円の会社があったとします。借入総額は、年商の半分にあたる5,000万円です。では、借入金利がこれまでよりも1%上昇したらどうなるか。何もしなければ、年間50万円の利息が増えることになり、社長は「困った、困った!」となるでしょう。そこで値上げです。

具体的には、0.5%の値上げをします。これにより増える利益は、「年商1億円×0.5%」で50万円です。0.5%の値上げによって、前述した「年間50万円の利息増加」をまかなうことができます。ちなみに、値上げ率0.5%の計算根拠は、「1%×(借入総額5,000万円÷年商1億円)」です。

値上げというと及び腰になるのが「社長あるある」ですが、0.5%の値上げと言われたらどうでしょう?1万円の商品なら50円の値上げ、10万円の商品でも500円の値上げです。それくらいの値上げであれば、お客さまにも受け入れてもらえると考えられるのではないでしょうか。

逆に、それがムリだというのなら、そもそもの商品価値に問題があるといわざるをえません。0.5%の値上げをして、強烈な客離れが生じるような商品は根本的に問題があるということです。

また、世の中の金利が上がる(≒日銀が利上げする)という背景には、景気の改善・上昇があります。だとすれば、借入金利の上昇に見合った値上げ(前例では0.5%)は、世の中に受け入れられやすい状況です。

以上をふまえて、値上げをすれば利息を気にせず銀行借入もできるようになります。「値上げ→客離れ」のイメージがあればそれをあらため、「金利上昇→値上げ」の考え方を身につけましょう。

関係性をよくする

利息を気にせず銀行借入の考え方、3つめは「関係性をよくする」です。会社は銀行に利息を支払うことで、銀行との関係性を深めることができます。

言うまでもありませんが、銀行の商売はおカネを貸すことです。おカネを貸して利息収入を得るのが銀行の商売です。であるならば、利息を支払ってくれる会社ほど、銀行にとっては「上顧客」だとわかります。一般に上顧客とは大事にされるものであり、銀行だって同じです。

たとえば、会社の業績が悪化して資金繰りが厳しいときに、その会社が上顧客だったらどうなるか。多くの利息収入を得てきたことは、銀行がその会社を支援する動機になります。いっぽうで、ふだんから利息が少ない・無いような会社に対して、銀行が支援をする動機はありません。

利息の支払いを惜しんで、繰上返済を考える社長がいます。繰上返済によって利息の支払いはなくなりますが、同時に銀行との関係性を失う点に注意が必要です。その銀行からの借入がなくなれば、銀行にとって自社はもはやお客さまではありません。利息の支払いをなくすということは、銀行との関係性を断ち切ることでもあるのです。

「今後いっさい、その銀行から融資を受けません」というのなら、それもよいでしょう。ですが、「いつかまた、その銀行から融資を受けるかもしれない」というのなら、利息の支払いを惜しんで繰上返済をすべきではありません。

銀行に支払う利息は、銀行との関係性を持つことであり、関係性をよくする手段でもある。この見方ができると、利息を気にせず銀行借入の考え方につながります。

まとめ

金利が上がっても利息を気にせず銀行借入をするにあたって、必要な考え方をお伝えしました。ぜんぶで3つ、次のとおりです。

  • 納税額が減る
  • 値上げをすれば
  • 関係性をよくする

これらの考え方ができないと、利息の支払いを過度に惜しむことになり、金利が上がるからといっそう利息の支払いを惜しむこととなり、銀行借入を遠ざけた分だけ資金繰りを悪くしかねません。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
くわしいプロフィールはこちら

目次