金利が上がると預金が融資にもっと効く

金利が上がると預金が融資にもっと効く

金利が上がると預金が融資にもっと効く。つまり、より融資が受けやすくなります。でも、それはなぜなのか?預金が融資に効くための具体的な方法や注意点などもあわせてお伝えします。

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金利が上がると預金が効く

会社の銀行融資について、ここ最近の傾向として「融資金利の上昇」が挙げられます。日本銀行が毎月公表する「貸出約定平均金利」といったデータでもあきらかです。この点、会社の銀行対応として「金利が上がると預金が融資にもっと効く」ことを押さえておきましょう。

端的にいうと、「金利が上がれば、預金があるほど融資が受けやすくなる」ということでもあります。今後は日銀の利上げにともない、融資金利のさらなる上昇も予想されるところです。だとすれば、これまで以上に預金が融資に効くともいえます。

とはいえ、どうして預金が融資に効くのか?また、預金が融資に効くようにするための具体的な方法や注意点とは?このあとお伝えをしていきます。

銀行は貸出原資を欲しがる

冒頭、「金利が上がると預金が融資にもっと効く」といいました。では、そもそも「預金が融資に効く」とはどういうことなのか。これは、銀行の商売を考えれば難しい話ではありません。

おカネを貸すのが銀行の商売だとすれば、貸すための原資が必要です。原資の調達手段はいろいろありますが、その1つが預金です。預金者からあずかったおカネを貸し出すことで、銀行は利息収入を得られるようになります。

貸せば貸すほど利息は増えるし、融資金利が上がればなお利息は増えるのですから、「だったら、貸すための原資である預金がもっと欲しい」となるわけです。事実、預金獲得競争がはじまっています。そのようなニュースを、たびたび目にするようにもなりました。

さらに、会社が銀行に預金をあずけることは、銀行にとって「安全性が高まる」というメリットもあります。1,000万円の融資をしている銀行があったとして、融資を受けた会社がその銀行に600万円の預金をしていれば、銀行が実質的に融資をしているのは400万円にすぎません。600万円は、いざとなれば預金で相殺できる状態だからです。

というように、「貸出原資としての預金」と「安全性を高めるための預金」として、銀行は会社からの預金が欲しいと考えています。そのうえで、金利が上昇局面にあるいま、「貸せば貸すほど儲かる」との思惑から「預金がもっと欲しい」と考えているのです。

だとすれば、会社が預金をするほど、預金をした銀行からは融資が受けやすくなる、融資を引き出しやすくなることがわかるでしょう。これが、「預金が融資に効く」という理屈です。

どの銀行に預けるかが大事

預金が融資に効くといいました。銀行に預金をあずけるほど、融資が受けやすくなります。とはいえ、会社の預金も限りがあるものです。すべての取引銀行(融資を受けている銀行)に、たくさんの預金ができるわけではありません。

そこで、どの銀行に預けるかが大事になります。これまでも大事でしたが、融資金利が上がり、銀行がますます預金を欲しがるいま、どの銀行に預けるかもますます大事になります。なぜなら、預金を欲しがる度合いは銀行によって差がありますし、ひいては預金が融資に効く度合いにも差が生じるからです。

同じ預金をあずけるのなら、より融資に積極的な銀行、より融資条件がよい銀行のほうがよいでしょう。したがって、取引銀行のようす・反応を見ながら、どの銀行に預金をあずけるかを考える必要があります。

なお、基本的な考え方は「借入残高の割合に応じてあずける」です。たとえば、借入総額が5,000万円、そのうちA銀行の借入残高が3,000万円、預金総額が4,000万円だとします。この場合、A銀行の借入残高割合は60%なので、A銀行には「4,000万円×60%」で2,400万円を預けるのが妥当です。

この考え方を基本に、より融資に積極的な銀行・より融資条件がよい銀行には、借入残高の割合に応じた預金よりもさらに多くの預金をすることで、より多くの融資・より条件がよい融資を引き出していくことになります。

言い換えると、融資に消極的な銀行・融資条件が悪い銀行からは預金を引き上げるということです。銀行にとっての預金の重要性が増しているいまだからこそ、ムダに預金をあずけていることがないようにしましょう。預金をあずけていても融資にはつながらない銀行もあるのです。

借りたおカネを預金に回す

預金が融資に効くのだけれど、預金にも限りがあるといいました。この点、預金をより増やす方法があります。公的金融機関の日本政策金融公庫(以下、日本公庫)から融資を受けて、その借りたおカネを民間金融機関に預けるという方法です。

日本公庫には預金ができないため、日本公庫で借りたおカネはどこか別の銀行にあずけなければいけません。だとすれば、日本公庫から借りたおカネをどの銀行に預けるか大事であることは、これまでのお話から理解できているはずです。

また、日本公庫から融資を受けずにいることは、その分だけ預金が少なくなるという面ではもったいないともいえます。繰り返しになりますが、預金が多いほど、より多くの融資・より条件がよい融資を引き出せるチャンスが増えるからです。よって、日本公庫から「あえて融資を受ける」ことが、資金繰りをよりよくする手段になります。

また、あえて融資を受けるということでいえば、民間金融機関から「あえて運転資金の融資を受ける」のも1つの手段です。借りたおカネを借りた銀行にあずけておければ、銀行としては融資も増えるし預金も増えます。これを「運転資金の滞留」などと呼びますが、銀行にとってはメリットがある状態です。

というように、あえて融資を受ける、融資によって借りたおカネを預金に回すことも考えてみましょう。すると、借入が増えるのが心配かもしれませんが、預金に回している限り借入はないのといっしょです。そのうえで、預金を交渉材料にすれば金利を下げることもできます。結果として、より低い資金調達コストで、より潤沢な資金を確保できるのがメリットです。

まとめ

金利が上がると預金が融資にもっと効く。つまり、金利が上がると預金があるほど、より多くの融資が受けやすくなるし、よりよい条件で融資が受けやすくなります。

「貸出原資としての預金」と「安全性を高めるための預金」として、銀行が預金を欲しがること。ただし、欲しがる度合いには銀行によって差があるため、その銀行に預金をあずけるかが大事であることを忘れてはいけません。

そのうえで、日本公庫を活用するなどして「借りたおカネを預金に回す」ことも検討してみましょう。よりよい資金繰りの実現に役立つものと考えます。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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