会社は自己資金を使ってはいけない

会社は自己資金を使ってはいけない

「借入するよりも、できるだけ自己資金で」と考える社長がいます。ですが、会社は自己資金を使ってはいけません。その理由をお伝えしていきます。

目次

借入するよりも、できるだけ自己資金で

はじめに結論として、会社は自己資金を使ってはいけません。ここでいう自己資金とは、利益を出したことで増やしたおカネを指します。

その自己資金を使う場面の典型例が、設備投資です。たとえば、あたらしい製造機械を買うのに自己資金で支払うとか。ほかにも、仕入代金を支払ったり、その他経費を支払ったり、いわゆる運転資金に自己資金を使うという会社もあるでしょう。

ですが、さきほども言ったとおり、自己資金を使ってはいけません。代わりに、銀行融資を受けてそのおカネを使うことをおすすめします。などというのは極端すぎる話であり、ややもすると過激で間違ったことに聞こえるかもしれません。ですが、少し極端なくらいに言わないと伝わらないこともありますので、そこはご容赦ねがいます。

実際、借入を嫌うあまり、必要な銀行融資も受けずに自己資金を使って、資金繰りを悪くしている会社もあるのです。そういった状況を改善したく、少し極端ではあっても「自己資金を使ってはいけない」とお伝えをしています。

もちろん、きちんと根拠はありますから、いたずらに煽っているわけではありません。根拠は3つ、次のとおりです。

  • 融資が受けられなくなる
  • 融資が受けにくくもなる
  • 自己資金は虎の子だから

これらが、会社は自己資金を使ってはいけない理由です。このあと順番に解説していきます。「借入するよりも、できるだけ自己資金で」と考える社長にほど、一読していただきたい内容です。

会社は自己資金を使ってはいけない理由

会社は自己資金を使ってはいけない、と言いました。これは、おカネを使うにあたって、自己資金と銀行融資の優先度に気をつけましょうということです。順番としては、まず融資により調達したおカネであり、自己資金を使うのはあとになります。その理由を確認していきましょう。

融資が受けられなくなる

会社は自己資金を使ってはいけない理由、1つめは「融資が受けられなくなる」です。

冒頭でも典型例として取り上げた、設備投資について。製造機械の購入代金を払うにあたり、銀行から融資を受けることが可能です。いわゆる設備資金の融資であり、その設備投資が妥当なものである限り、銀行も融資を前向きに検討してくれます。

にもかかわらず、会社が自己資金で購入代金を支払ったのち、しばらくしてから「やっぱり貸して」というハナシは通用しません。設備資金の融資は、設備投資をしたタイミングでしか受けられず、あとからさかのぼって受けることはできないのです。

というように、会社が自己資金を使った場合には、受けられたはずの融資が受けられないことになります。

設備投資は、大きな金額に及ぶものです。支払いをすれば、預金残高は大きく減ります。投資額を回収するための原資は、投資により増える利益であり、回収するまでには時間がかかります。そのあいだに何か起きれば(たとえば、新型コロナのような不測の事態)、資金ショートしやすくなることはわかるでしょう。

受けられたはずの融資が受けられなかったことが、仇となります。

融資が受けにくくもなる

会社は自己資金を使ってはいけない理由、2つめは「融資が受けにくくもなる」です。

設備資金の融資も、タイミングを逃すと融資が受けられなくなると言いました。それだけではなく、その後の融資が受けにくくもなるのが、自己資金を使ってはいけない理由になります。

繰り返しになりますが、自己資金で設備投資をすれば、その分だけ預金残高は減ります。設備投資に限らず、運転資金に自己資金を使った場合も同じです。自己資金を使った分だけ、預金残高は減ります。すると、何が起きるのか?

銀行融資が受けにくくなります。なぜなら、銀行は預金が少ない会社ほどリスクを感じるからです。これは、おカネを貸す側の立場になってみればわかるでしょう。あなたがおカネを貸すなら、おカネがない人に貸したいとおもいますか?おもいませんよね?という話です。

よって、銀行から融資を受けられるようにするには、預金残高を減らさないことが重要になります。そのためには、受けられる融資はきちんと受けておくことであり、自己資金はできるだけ使わないことです。

設備投資をするにあたり融資を受ければ、設備の購入代金を支払っても、預金残高が大きく減ることはありません。借入が増えるのはイヤだとおもわれるかもですが、いずれ借入する(資金繰りが厳しくなって)のであれば、あとで借りるのもいま借りるのも同じことです。

自己資金は虎の子だから

会社は自己資金を使ってはいけない理由、3つめは「自己資金は虎の子だから」です。

虎の子とは、大切であり手放さないものをいいます。自己資金がまさにそれです。自己資金は、さいごのさいご、どうしようもないときに使うものと考えておきましょう。さいごのさいごとは、もうこれ以上は銀行融資が受けられないときです。

そのときに、自己資金をすでに使ってしまっているか、虎の子で使わずにいたかで会社の命運が分かれます。自己資金を温存していた会社は、それだけ耐え忍ぶことができる可能性が高まります。いっぽうで、自己資金を優先的に使ってしまった会社には、もうあとがありません。

社長であれば、どちらがよいかは考えるまでもないでしょう。

これは、社長個人のおカネについてもいえます。会社の資金繰りが厳しくなると、銀行融資を受けるよりもお手軽だからという理由で、個人のおカネを会社に貸し付ける社長はいるものです。しかし、そのおカネは「さいごのさいご」のときのために温存しておくのがよいでしょう。

会社がもう、銀行から融資を受けることはできない。会社としての自己資金も底をついてしまった。社長個人のおカネを使うのであれば、そのときこそがタイミングだといえます。言い換えるなら、会社が銀行融資を受けられるうちは、まず融資を受けることを考えるべきだということです。

まとめ

「借入するよりも、できるだけ自己資金で」と考える社長がいます。ですが、会社は自己資金を使ってはいけません。その理由をお伝えしました。

  • 融資が受けられなくなる
  • 融資が受けにくくもなる
  • 自己資金は虎の子だから

これらがわからずにいると、借入を嫌うあまり、必要な銀行融資も受けずに自己資金を使って、資金繰りを悪くすることにもなりかねません。おカネを使うときには、自己資金と銀行融資の優先度に気をつけましょう。まずは融資であり、自己資金を使うならそのあとです。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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