銀行融資を経営者保証なしで受けるために

銀行融資を経営者保証なしで受けるために

銀行融資を経営者保証なしで受けるためには何が必要かについてお伝えします。経営者保証なしで融資が受けられないような会社は、融資自体が受けにくくなるかもしれない点にも注意です。

目次

経営者保証はなければないほうがよいもの

銀行融資を経営者保証なしで受けるためには何が必要かを押さえておきましょう。経営者保証とは「社長の連帯保証」であり、社長にとってはなければないほうがよいものだからです。

金融庁が公表しているデータによれば、新規融資に占める経営者保証なしの融資の割合は約5割にまで及びます。以前に比べれば、経営者保証なしの融資は格段に増えているものの、すべての会社が経営者保証なしで借りられているわけではありません。

ではどうしたら、経営者保証なしで銀行融資を受けることができるのか?経営者保証なしで借りられている会社と、それができない会社では何が違うのか?結論として、次の3つが挙げられます。

  • 税金を納める
  • 綺麗な決算書
  • 各銀行を知る

もしかすると、「別に経営者保証が付いていても借りられればいい」と考える社長がいるかもしれません。ですが、経営者保証を付けなければ融資が受けられないような会社は今後、融資自体が受けにくくなる可能性があります(というか、すでにそのような傾向もあらわれています)。

結果として資金繰りが悪くなっては困るのですから、銀行融資を経営者保証なしで受けるためにはどうしたらよいのか、このあと確認をしていきましょう。

銀行融資を経営者保証なしで受けるために

経営者保証なしで借りられている会社と、それができない会社では何が違うのか?その差は、以下の3点にあらわれます。経営者保証なしで借りれないのであれば、これらを理解し、その実践に努めましょう。

税金を納める

銀行融資を経営者保証なしで受けるために、1つめは「税金を納める」です。ここでいう税金とは法人税のことであり、法人税を納めるということは利益が出ているということであり、利益が出ている会社を銀行は好みます。ゆえに、経営者保証なしでも借りやすくなるのです。

経営者保証なしで融資を受けるためには、まず利益を出すことと心得ましょう。逆に、利益が出ていない会社(=税金を納めていない会社)は返済力が低いとみなされ、銀行にとってはリスクが高いことから「経営者保証を付けるのがあたりまえ」という判断になってしまいます。

この点、「いまどきは増税のハナシもあるし、利益を出して税金を納めるなどバカらしい」と考える社長もいるようです。が、それは「問題のすり替え」というものでしょう。だって、税金を納めたくないからといってわざわざ赤字にしますか?というハナシです。

社長は誰しも儲けを出すために会社を始めたはずであり、儲けを放棄するのであれば会社を続ける意味もなくなってしまいます。なにより、儲けを放棄すれば会社の持続・成長がかないません。会社は税金を納めて(=利益を出して)はじめて、自己資本が増えて財務基盤が強化されるのです。

よって、いかに増税があろうとも税金を納めること、出せる利益を惜しまず出すことが大切になります。増税の是非は政治の問題であって、経営や財務の問題ではありません。

銀行が経営者保証の有無を検討する際の目安として、「経営者保証に関するガイドライン」があります。そのなかで、経営者保証をなしにできる要件の1つに挙げられているのが「財務基盤の強化」であり、「会社の資産や収益力が十分であるか」です。

目先の税金を嫌い、利益を出し惜しめば、財務基盤の強化はできないのですから、経営者保証なしで融資を受けることはおのずと難しくなるものと理解しましょう。

綺麗な決算書

銀行融資を経営者保証なしで受けるために、2つめは「綺麗な決算書」です。綺麗な決算書とは、いわゆる粉飾決算をしていないことや、不透明な部分がないことを意味します。前述した点にならい、いくら利益を出していたとしても綺麗な決算書でなければ、やはり経営者保証なしで融資を受けることはできません。

言うまでもなく、粉飾決算(資産や利益の水増し)はよくないことです。よくないことをする会社に、社会の公器たる銀行が融資をするわけにはいかないのはわかるでしょう。よって、粉飾決算をしているとみなされると、経営者保証はおろか、融資そのものが受けられなくなるものです。

ここでのポイントは、「粉飾決算をしているとみなされると」というところ。会社側には粉飾決算の自覚がなくとも、銀行側が粉飾決算だとみなせば粉飾決算になってしまいます。たとえば、減価償却費を税法の限度額まで計上していないケースなどであり、銀行が黒だといえば白も黒です。

また、粉飾決算ではなくとも、不透明な決算書もまた銀行から嫌われます。最たるものは、会社から社長個人への貸付金です。会社のサイフと社長個人のサイフがごっちゃになっているとみなされ、融資が受けにくくなってしまいます。仮払金の額が多い、なども似たようなものです。

したがって、経営者保証なしで融資を受けるためには、綺麗な決算書が必要になることを覚えておきましょう。繰り返しになりますが、利益を出していればOKではありません。せっかく利益が出ているのに、社長への貸付金が問題にされ、経営者保証を外せない会社もあるのです。

各銀行を知る

銀行融資を経営者保証なしで受けるために、3つめは「各銀行を知る」です。経営者保証なしの融資をするかどうかの姿勢には、銀行ごとに差があります。よって、各銀行ごとの姿勢を知ることも大切です。

金融庁は、銀行ごとの「新規融資に占める経営者保証なしの融資の割合」を公表しています。これを見ると、銀行によってだいぶ差があることがわかるでしょう。だとすれば、その割合が高い銀行のほうが経営者保証なしで融資を受けられる確率が高いはずだとの推測も成り立ちます。

ですから、金融庁の公表データを確認したり、あるいは各金融機関が公表している「ディスクロージャー誌」を確認したりして、各銀行の姿勢を確認するのがよいでしょう。既存の取引銀行はもちろん、取引はなくとも自社近隣の金融機関も確認することをおすすめします。既存の取引銀行よりも、自社にとってよい銀行(経営者保証を外すのに積極的な銀行)が見つかるかもしれません。

ところで冒頭、「経営者保証を付けなければ融資が受けられないような会社は今後、融資自体が受けにくくなる可能性がある」といいました。さきほど紹介したとおり、金融庁は銀行ごとの「新規融資に占める経営者保証なしの融資の割合」を公表しています。金融庁が経営者保証の解除を押し進めていることのあらわれです。

したがって、銀行には「その割合をできるだけ高めなければ…」とのプレッシャーがかかっています。にもかかわらず、経営者保証ありで融資をすれば割合は下がってしまいます。だとすれば、経営者保証ありでしか融資ができないような会社(≒利益が出せない会社・決算書が綺麗ではない会社)には「そもそも融資をするのはやめよう」との判断もありうるところです。

よって、社長が「別に経営者保証が付いていても借りられればいい」と考えるのは間違いであることを理解しておきましょう。そのような考えでいれば、そもそも借りられなくなってしまいます。

まとめ

経営者保証なしで銀行融資を受けることができるのか?経営者保証なしで借りられている会社と、それができない会社では何が違うのか?次の3つについてお伝えしました。

  • 税金を納める
  • 綺麗な決算書
  • 各銀行を知る

経営者保証を付けなければ融資が受けられないような会社は今後、融資自体が受けにくくなる可能性があります。結果として資金繰りが悪くなっては困るのですから、経営者保証なしで融資を受けられる会社を目指しましょう。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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