銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為

銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為

銀行融資をスムーズに受けるコツを知りたい、と考える社長がいます。でもその前に、融資の難易度をみずから上げるような行為をしていませんか。そんなワースト行為についてお伝えします。

目次

銀行融資をスムーズに受けるコツを知るより前に

会社の銀行融資をスムーズに受けたい。そのためのコツを知りたい、と考える社長がいます。そのような行為をしていると、せっかくのコツもムダになってしまいます。

ところが、「銀行融資の難易度をみずから上げる行為」を自覚できていない社長が少なくありません。じぶんでは気づかずにやってしまってはいないか、確認しておくのがよいでしょう。ワースト3に挙げられるのが以下の行為です。

  • 赤字のときに借りる
  • 利益・資産を水増す
  • 情報を隠そうとする

これらの行為のどこに問題があるのか。なぜ、融資の難易度が上がってしまうのか。対策としてどうしたらよいのかを理解することが大切です。このあと順番に解説をしていきます。

銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為

社長が避けるべき、銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為を解説していきます。やりがちな行為でもありますから、実はやってしまっていないかをセルフチェックしましょう。

赤字のときに借りる

銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為、1つめは「赤字のときに借りる」です。これは本当によく見られる行為であり、社長にはワーストの自覚がなかったりもします。結果として、社長も気づかぬうちに、ムダに資金繰りを悪くしているので気をつけましょう。

銀行は赤字の会社を好みません。貸したおカネを返してもらえる可能性が低いからです。これはあたりまえのことなのですが、実際には、赤字のときに借りようとする会社が散見されます。言い換えると、黒字のときには借りようとしない会社が少なくないのです。

黒字のときにこそ借りましょう。銀行は黒字の会社に融資をしたいのですから、黒字のときには融資の難易度は下がります。借りれる金額も大きくなりますし、金利や担保・保証などの条件も会社にとって有利になります。すると、資金繰りはよりよくなることはわかるでしょう。

にもかかわらず、黒字のときに融資を受けようとしないのは、社長が「いまは借入は必要ない」と考えるからです。しかし、いまは必要なくても将来はわかりません。もう二度と融資は受けないと言い切れるのでなければ、難易度が低いうちに借りておくのが賢明というものです。

利益・資産を水増す

銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為、2つめは「利益・資産を水増す」です。事実よりも利益を大きく見せる、資産を大きく見せるよう決算書に細工をする。これを粉飾決算と呼びます。いうなればウソの決算書をつくる会社が、銀行から嫌われるのは当然でしょう。

ですから、悪意や故意で粉飾決算を考える社長は多くありません。ところが、自覚のない粉飾決算となれば話は変わります。社長には自覚のないまま、銀行からは「粉飾決算をしている会社」と見られていることもあるのです。

たとえば、費用の未払計上が挙げられます。赤字が確定しているときに、さらに費用を計上しても赤字が大きくなるだけで、税額も変わらない(税務署から問題にされることもない)ので、決算時点で未払いの費用は来期の計上に先送りする、といったケースです。

これは、銀行から見れば粉飾決算にあたります。税額がどうであろうと、決算時に未払いであろうと、生じた費用は計上すべきというのが会計のルールです。そのルールを守れないような会社を信用することはできず、融資もできないということになってしまいます。

この点、税理士にも粉飾決算の自覚がないケースもあるので気をつけましょう。税務署のことは考えていても、銀行のことまでは考えていない税理士もいます。その場合、社長自身が気をつけるしかありません。悪意や故意の粉飾決算はもちろん、自覚のない粉飾決算にも要注意です。

情報を隠そうとする

銀行融資の難易度をみずから上げるワースト行為、3つめは「情報を隠そうとする」です。銀行に対して、できるだけ情報を見せないようにと考える社長がいます。銀行は敵であり、だとすれば手の内をさらすのはやめたほうがいい、といった考えの社長です。

ところが、情報が少なければ少ないほど、銀行は融資に消極的になることを覚えておきましょう。情報が不足すれば、その会社を評価することができないからです。また、会社が情報を隠そうとすればするほど、銀行は「よくないことを何か隠しているのではないか」と疑いもします。

たとえば、銀行から「決算書を見せてほしい」と言われたときに、勘定科目内訳明細書を見せようとしない社長はいるものです。しかし本来、勘定科目内訳明細書には見られて困るようなことは書かれていないはずであり、見せようとしないのであれば、銀行から疑われるのは当然です。

いっぽうで、積極的に情報を提供する会社は、融資の難易度が下がります。情報が多いほど、銀行は柔軟に評価できるし、柔軟に対応ができるからです。

たとえば、「社長個人の資産」に関する情報が挙げられます。銀行には、会社の評価をする際に、会社の資産に社長個人の資産も合算して評価するという考え方もあるため、より融資を検討しやすくなることはあるのです。

にもかかわらず、そういった情報を隠そうとすれば、銀行の柔軟な評価・対応も期待はできません。情報を隠せば、融資の難易度は上がることを理解しておきましょう。

まとめ

銀行融資をスムーズに受けるコツを知りたい、と考える社長がいます。でもその前に、銀行融資の難易度をみずから上げる行為に気をつけましょう。ワースト行為として3つ紹介しました。

  • 赤字のときに借りる
  • 利益・資産を水増す
  • 情報を隠そうとする

やりがちな行為でもありますから、実はやってしまっていないかをセルフチェックしましょう。これらの行為のどこに問題があるのか。なぜ、融資の難易度が上がってしまうのか。対策としてどうしたらよいのかを理解することが大切です。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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