月次決算が大事だと言われること自体は、もう珍しくありません。ですが、いまはその「大事」の意味が少し変わってきている可能性があります。
試算表を「ある」から「使える」に育てるなら、あと回しにするより、いま動いたほうがよさそうです。
ブームがスタンダードになる前に
「月次決算が大事なのはわかってる」
そうおもいながら、毎月なんとなく試算表を確認しておわり… そんな状態が続いていないでしょうか。
動けていないのは、サボっているからではありません。月次決算の「本当の意味」が、まだ腹落ちしていないだけかもしれません。
今回は、月次決算の大事さの意味がいま変わってきている理由と、最初の一歩の踏み出し方を、できるだけ具体的に整理していきます。
先に要点からいうと…
- 月次決算が進まないのは意欲の問題ではなく、意味が腹落ちしていないから
- 制度の名前より、その制度が示している「方向」を読むことが大事
- 最初から全部そろえなくてもいい。試算表から順番に育てればよい
銀行や制度が「見ている軸」が、静かに変わってきている
月次決算が大事だという話は、昔からあります。
ですが、いまはその「大事」の意味が少しずつ重くなってきている。僕はそんなふうに見ています。
表の争点は、試算表があるかどうか。
ですが、裏の争点は、数字の流れが見えやすい会社かどうか、事業の将来性を説明しやすい会社かどうかです。
この裏の争点が、以前より見られやすくなっている可能性があります。
たとえば、2026年前後の制度の動きです。
モニタリング強化型特別保証制度や、事業性融資推進法のような流れを見ると、単に資料がある会社よりも、数字を見ている会社、数字を使って説明できる会社が評価されやすくなる方向がにじみでています。
もちろん、制度の詳細や運用はケースによるでしょう。大事なのは、その制度が示している方向です。
不動産担保や保証だけではなく、事業そのものの価値や将来性を見る。そのときに、月次で数字を見ているかどうかは、銀行などから見たときに無視しにくい材料になりえます。
つまり、月次決算は「そのうち整えればいいもの」ではなくなりつつある。
ブームがいずれスタンダードになる前に着手しておく。そういう意味で、いまは始めどきだとおもいます。
最初にやるべきは、「ある試算表」を「使える試算表」に変えること
とはいえ、「じゃあ何から手をつければいいのか」が見えないと、やはり動きにくいものです。
ここで最初にやるべきは、試算表を「ある状態」から「使える状態」に整えることです。
目安は3つあります。
1つめは、数字が早いこと。
月次決算は、遅れて見ても打てる手が限られます。毎月の数字を、毎月のうちに、ある程度早く見られること。ここは土台です。
2つめは、勘定科目が実態を表していること。
数字が並んでいても、その中身が実態とずれていたら、社長は判断しにくいでしょう。試算表は「出ていればいい」のではなく、「何が起きているかが読める」状態であることが大事です。
3つめは、社長自身が説明できること。
銀行に聞かれたときでも、じぶんのアタマの中で整理するときでも、「この数字はこういう意味です」と言えるかどうか。ここまでいくと、試算表は資料ではなく道具になります。
試算表を受け取っているだけで安心してしまうのは、少しノンキだと言ってよいでしょう。
ですが、逆にいえば、ここが整うだけでも景色はかなり変わります。
いきなり完璧を目指す必要はありません。まずは「早い」「実態」「説明できる」の3つを目安にすると、動きやすくなります。
最初から全部やらなくていい。4点セットで順番に育てる
月次決算というと、最初から全部そろえなければいけないように感じる社長もいるかもしれません。ですが、そう考えると足も重たくなりがちです。
実際には、順番に育てることをおすすめします。
1つめは、試算表。
足元の数字を見るための土台です。
2つめは、借入金一覧表。
借り方の全体像を見るためです。どこから、いくら、どんな条件で借りているのか。ここが見えると、借入の整理がしやすくなります。
3つめは、資金繰り表。
先のおカネの動きを見るためです。試算表が「いま」を見るものだとすれば、資金繰り表は「この先」を見るための道具だといえます。
4つめは、予実管理表。
計画との差を見るためです。見込み通りに進んでいるのか、ズレているのか。そこが見えると、修正の判断もしやすくなります。
この4つが最初から全部そろっている必要はありません。
まずは試算表から始める。そのあと、借入金一覧、資金繰り、予実へと広げていく。
まず始める。あとから育てる。その順番のほうが、月次決算は圧倒的に動きやすいはずです。
そのまま使える。月次決算を動かす問いかけ3つ
ここまで読んでも、実際には「で、ウチは何を見ればいいのか」で止まりやすいものです。
なので、問いを3つに絞ります。
1つめ。
「この試算表を見て、来月の動きを何か変えたことがあるか?」
試算表が確認でおわっているのか、判断につながっているのか。
この問いで、だいぶ見えてきます。
2つめ。
「ウチの試算表は”ある”状態か、それとも”使える”状態か?」
試算表が届いていることと、経営に使えることは別です。
ここを分けて考えられるかどうかが、最初の分かれ目です。
3つめ。
「いま手元にある試算表で、銀行に会社の実態を説明できるか?」
この問いは、かなり実務的です。
説明できるなら、その数字はかなり使える状態に近い。
逆に説明しにくいなら、どこかに未整理があると見てよいでしょう。
迷ったら、この3つの問いで十分です。
月次決算を難しく考えすぎるより、まずは問いを持つこと。
そこから動き始める会社は、少しずつ変わっていきます。
まとめ:チェックリスト
月次決算は、昔から大事だと言われてきました。
ですが、いま社長が考えたいのは、その「大事」の意味です。
要点は3つです
- 制度の名前より、その制度が示している「方向」を読むことが大事
- 最初にやるべきは、試算表を「ある」から「使える」に変えること
- 月次決算は、試算表から4点セットへ順番に育てればよい
最初の1歩
- 自社の試算表が、翌月何日に出ているかを確認する
- その試算表が「早い・実態・説明できる」の3つを満たしているか見てみる
- 次の税理士との打ち合わせで、「試算表を経営に使える状態にしたい」と話題にしてみる
月次決算を整えるにあたって、自社の状況をいちど棚卸ししてみたい社長は、 個別相談 もご活用ください。

