会計・税金は税理士の強みにならない

会計・税金は税理士の強みにならない

会計・税金は税理士の強みにならない。その理由と、僕自身がどうしたか・どうしているかについてお伝えします。これから開業される税理士の方や、開業されたばかりの税理士の方にはとくに、ご参考になるかもしれない内容です。

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お叱りを受けそうな気がしないでもない

唐突ではありますが、「会計・税金は税理士の強みにならない」というのが僕の考えです。などと言えば、お叱り(税理士は税金の専門家だ!とか)を受けそうな気がしないでもないけれど。とはいえ、あくまで僕個人の考えですし、僕自身の実体験にもとづくものでもあるので、クチにすることに躊躇はありません。

でも、強みに「ならない」は言い過ぎか。ですから、もう少し丁寧に言うのであれば、会計・税金は税理士の強みに「なりにくい」ということになるでしょう。

ちなみに、会計や税金を強み(売り)にしている税理士を否定する意図はゼロです。なにしろ僕もまた以前(開業当初)は、会計や税金を強みとしていわゆる「営業」をしていたわけで。その実体験もふまえて、会計・税金は税理士の強みになりにくいという「傾向」をお話ししているにすぎません。

ではなぜ、強みにならないのか?そのうえで僕がどうしてきたか?といったことを、このあとお伝えしてみたいとおもいます。これから開業される税理士の方や、開業されたばかりの税理士の方にはとくに、ご参考になるかもしれない内容です。

なぜ、会計・税金が強みにならないのか

まずは理由から。なぜ、会計・税金は税理士の強みにならないのか?

そもそも、ここでいう「強み」とは、税理士が営業をするうえでの「セールスポイント」にあたるものです。世の中には税理士がたくさんいるので、お客さまから選んでもらうためにはセールスポイントも必要でしょう。

いまさら言うまでもありませんが、ひと昔前ならば(いまでも多少は)、会計・税金は税理士の強みになりました。昔はいまほど、ツールや情報が普及していなかったからですね。

いまでは、会計ソフトの価格も下がり、以前よりは使いやすくもなりました。結果として、税理士に「記帳代行(領収書とか丸投げ)」を依頼する会社も減っています(少なくとも僕のまわりでは)。税金について知りたければ、ネットでいくらでも調べられるようになりました。最近であれば、AIによるリサーチという方法もありますね。

いずれにせよ、会計・税金の「ハードル」は下がっているのです。この状況で、税理士が「ウチは会計・税金に強い!」というセールスをするとしたらどうでしょう?

「いやいや、じぶん(自社)でもできるし」と考える会社からの依頼はなくなります。依頼をするのだとしても、ハードルが下がっている分だけ値下げ圧力が高まることでしょう。事実、税理士の顧問料は昔に比べれば値下がりしています(僕はいちおう、この業界を27年ほど見てきました)。

というわけで、ハードルが下がった(いまなお下がり続けている)のは、会計・税金が強みにならない理由のひとつです。

お客さまには強みを評価する基準がない

とはいえ、会計・税金に専門性があるのはたしかです。会計ツールがあろうと、ネットやAIがあろうと、現状ではそれらをもって会計・税金に万全の対応ができるものでもありません。つまり、なんだかんだいって、税理士に対するニーズはあります。

だったら、会計・税金も強みになるではないか?と、おもわれるかもですが。お客さまからしてみれば、「税理士は、みな税理士」という見方であったりします。言い換えると、「税理士なのだから、会計・税金に強いのはあたりまえ」という見方です。

だとすれば、会計・税金がセールスポイントにはなりくいことがわかるでしょう。他の税理士との比較において、差別化になりにくいのです。相続税などは別としても、法人税や所得税においては差別化してセールスするのは難しいものがあります。

なぜかといえば、やっぱりお客さまからすれば「税理士が法人税や所得税に強いのはあたりまえ」であって、仮に強い税理士がいたとしても、それを評価する基準を持たないからです。税理士ではない人からすれば税金の専門性は高く、その状況で税理士の評価などできるはずもありません。

専門家である税理士どうしであれば力量の差がわかったとしても、お客さまにはその差がわからない・わかりにくいということです。

それでも、お客さまにわかりやすく差別化できるとしたら、「〇〇業特化(ウチは〇〇業のお客さまが多い)」みたいな売り文句でしょうか。僕も、〇〇業特化の税理士事務所に勤務した経験があります。しかし、それは結果論であって、開業当初のようなタイミングではかなわぬことです。

なお余談ですが、「誠実」や「親身」「優しい」といった売り文句も、効果のほどは疑わしいといえます。言葉だけでは抽象的すぎて、やはり評価することができないからです。この点、僕は対応策を持っていますが、そのハナシはいずれ別の機会に。

僕はなにを強みにすることにしたのか?

というわけで、会計・税金が税理士の強みになりにくいのだとしたら、どうすればよいのか。ほかに強みを持つことですね。具体的な強みは、税理士それぞれとなります。

ですから、「僕個人はどうなのか」という話をします。

中小企業・個人事業主の「銀行融資支援」を強みと位置づけました。資金繰りは社長の悩みのひとつであり、銀行融資は資金繰りにおける手段のひとつです。では、銀行融資に詳しい税理士や、銀行融資支援に積極的な税理士はいるのかといえば、「少数派」でしょう。

だとすれば、そこにニーズはあります。銀行融資に強い税理士、というセールスポイントはアリだということです。銀行融資や資金繰りに関するコンサルタントの方もいますが、「税理士でもある」のは、税理士ではないコンサルタントとの差別化にもなりえます。税理士は国家資格でもあり、世の中に名のとおった資格でもあるのは利点です。

かくして、開業当初は「会計・税金に強い!」みたいな営業をしていた僕も、「銀行融資に強い税理士」というセールスポイントを持つことができるようになりました。

ちなみに、僕が銀行融資支援を本格的にはじめたのは、開業してからです。つまり、ゼロからのスタートでここまで来ています。ここまでとはどこまでか。いちおうの権威付けをさせていただくのであれば、銀行融資をテーマにした書籍2冊の出版経験があります。

以上をふまえて、「月次監査(監査業務)」についても、銀行融資支援で差別化できるものと考えています。月次監査もまた、税理士ならあたりまえであり、お客さまが評価しにくいところですが、銀行融資支援の視点を加えることで、お客さまにも差別化が伝わりやすいとの考えです。

では、銀行融資の視点とはなにか?実際、どのようにすればよいのか?これらについてお話をするセミナーを企画しました。ご興味あれば、以下の案内ページもご覧ください。

まとめ

会計・税金は税理士の強みにならない。その理由と、僕自身がどうしたか・どうしているかについてお伝えしました。

誤解なきように申し添えると、「会計・税金が大事でない」などとは考えていません。いずれも専門性が高いところであり、むしろ大事なものであり、税理士の活躍が求められるところです。

が、お客さまから選ばれなければ活躍もできないのであり、だとすれば、選ばれるための「入口」を考える必要があります。入口を会計・税金にするのではなく、別の入口(僕の場合は銀行融資)を用意するということです。

結果、大事な会計・税金についても、お客さまに伝える機会を得られるようになります。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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