なぜウチの銀行担当者は融資の回答が遅いのか

なぜウチの銀行担当者は融資の回答が遅いのか

融資を申し込んだのに、銀行担当者から一向に連絡がない…銀行を責める前に、社長が確認すべきことはあるものです。この記事では、融資の回答が遅れる本当の理由と、その対策を解説します。

目次

なぜ、銀行の回答はこんなに遅いのか?

銀行に融資を申し込んで、回答を待つ日々。1日、また1日と時間は過ぎていくのに、担当者からは一向に連絡がない…

  • 「いったい、審査はどうなっているんだ?」
  • 「ウチの会社は、信用されていないのだろうか?」
  • 「そもそも、この担当者は仕事ができる人間なのか?」

このように、銀行の回答の遅さに、やきもきしたり、不満を感じたりしている社長は少なくないでしょう。たしかに、銀行側の事情で遅れているケースもあります。しかし、僕が多くのケースを見ていると、実は回答が遅れる原因が、社長の側にあることもしばしばです。

今回は、銀行担当者からの融資の回答が遅くなる、代表的な3つの理由について解説していきます。銀行を責める前に、自社の状況や依頼の仕方に問題がなかったか、ぜひ振り返ってみましょう。

具体的には次のとおりです。

  • 融資の「難易度」が高いから
  • 「回答期限」を決めていないから
  • 依頼の「タイミング」が悪いから

銀行担当者の融資の回答が遅い3つの理由

それでは、具体的な3つの理由について見ていきましょう。銀行の内部事情や担当者の立場を理解することが、回答を早めるための第一歩です。

融資の「難易度」が高いから

銀行側の事情

銀行担当者の仕事は、社長から融資の依頼を受けたら、その内容を「稟議書(りんぎしょ)」という書類にまとめて、上司や本部に承認を求めることです。

業績が良く、計画も明確な会社の稟議書は書きやすく、承認もスムーズに進みます。しかし、融資の「難易度」が高い案件は、稟議書作成に非常に手間と時間がかかり、担当者も頭を悩ませるものです。結果として、着手するのが後回しにされがちとなります。

「難易度」が高くなるケースとは?

  • 会社が赤字・業績不振である
    なぜ赤字なのに融資が必要なのか、今後どうやって立て直すのか、返済は本当に可能なのか…など、上司を説得するための詳細な説明と資料が必要になり、稟議書作成のハードルが上がります。
  • 銀行との取引が浅い
    取引を始めて日が浅かったり、預金や他の取引が少なかったりすると、担当者が稟議書に書ける「会社の情報」が不足します。ゼロから情報を集め、会社のことを説明しなければならないため、手間がかかります。

社長が考えるべきこと

自社の状況が、銀行にとって「難易度の高い案件」に該当しないか、客観的に考えてみましょう。もし該当するのであれば、担当者が稟議書を書きやすいように、利益改善計画書や、自社の強みをアピールする資料などを、こちらから積極的に提出するといった行動が、回答を早めることにつながります。

「回答期限」を決めていないから

銀行側の事情

銀行の担当者は、1人で何十社もの取引先を抱えているなど、常に多くの案件に追われています。その中で、どの案件から優先的に処理していくか?「期限が明確で、急いでいる」と表明された案件から、というのが現実です。

よって、社長が「いつでもいいですよ」「急ぎませんので」といったスタンスでいると、担当者は「では、他の急ぎの案件から先にやろう」と考えてしまいます。

社長が陥りがちな勘違い

多くの社長が、「期限を区切るのは、なんだか銀行を急かしているようで失礼ではないか」と遠慮してしまいがちです。しかし、これは大きな間違いです。

社長がやるべきこと

融資を申し込む際には、遠慮せずに、明確な「回答期限」を設定し、担当者に伝えましょう。その際、ただ「〇月〇日までにお願いします」と言うだけでなく、「設備購入の支払いがあるので、それまでに融資の可否を知りたいのです」といったように、具体的な理由を添えることが重要です。

理由があれば、担当者も社内で「この会社はこういう事情で急いでいます」と説明しやすく、優先順位を上げてくれる可能性も高まります。ビジネスとして、期限を設けるのは当然のことなのです。

依頼の「タイミング」が悪いから

銀行側の事情

会社と同じように、銀行にも「繁忙期」があります。依頼のタイミングが悪いと、担当者が忙殺されているために、自社の案件になかなか着手できない、という事態が起こります。

具体的に悪いタイミングとは?

  • 銀行の繁忙期
    一般的に、年度末・半期末である3月や9月、そして年末の12月は、銀行にとって忙しい時期です。また、多くの銀行で人事異動がある4月も、担当者の引き継ぎなどで業務が滞りがちになります。
  • 会社の決算期末の直前
    たとえば、3月決算の会社が2月や3月に融資を申し込んだ場合、銀行は「まずは3月期の決算数字を見てから判断しましょう」と考えるのが自然です。決算が確定するまでの数か月間、審査が保留になってしまうのは避けられません。

社長がやるべきこと

資金が必要になる時期をあらかじめ予測し、できるだけ余裕を持って、早めに銀行に相談することです。

銀行や自社の繁忙期を避け、タイミングを見計らって依頼をすることも、スムーズな融資回答を引き出すための重要な行動と言えるでしょう。

まとめ

銀行担当者からの融資の回答が遅い。その理由は、担当者の怠慢だけでなく、こちら側にも原因があるかもしれません。

  1. 融資の「難易度」が高い
    赤字決算や取引実績不足など、稟議書が書きにくい状況ではないか?
  2. 「回答期限」を決めていない
    理由を添えて、明確な期限を伝えているか?
  3. 依頼の「タイミング」が悪い
    銀行や自社の繁忙期に、依頼をしていないか?

融資の回答を早めるコツは、いかにして銀行担当者の仕事をやりやすくしてあげるか、という視点を持つことです。

審査の難易度を理解し、必要な資料を先回りして提出する。明確な期限を設定して、優先順位を上げてもらう。タイミングに配慮し、余裕をもって相談する。こうした社長の姿勢が、銀行との良好な関係を築き、スムーズな資金調達へとつながっていきます。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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