「今回の銀行担当者はレスポンスが良くて助かった!」そんな経験はありませんか?良い出会いは素晴らしいですが、それに依存するのは危険です。担当者の「当たり外れ」に左右されない、再現性のある強い銀行対応について解説します。
「担当者が良かったから融資が通った」は危険なサイン
SNSなどで「銀行担当者がすごく良くて、スムーズに融資が受けられた!」という喜びの声を見かけることがあります。
たしかに、良い担当者との出会いは、会社にとって大きなプラスです。しかし、「担当者が良かったからうまくいった」という状態は、裏を返せば「担当者が悪ければうまくいかない」という危うさをはらんでいます。
資金繰りにおいて、担当者の「運」に依存するのはリスクが高すぎます。 目指すべきは、担当者の能力に左右されず、「誰が担当になっても融資を受けられる会社」になることです。
なぜ「担当者ガチャ」に頼ってはいけないのか
なぜ、担当者任せの銀行対応ではいけないのでしょうか。そこには構造的な2つの理由があります。
銀行員は必ず「転勤」する生き物
残念ながら、どんなに優秀で熱心な担当者も、2〜3年ていどで転勤してしまいます。
「あの人がいてくれたら…」は通用しません。特定の個人に依存した関係性は、その人がいなくなった瞬間に崩壊する時限爆弾のようなものです。担当者が変わった途端に融資の話がまったく進まなくなる、というのは珍しい話ではありません。
審査をするのは担当者ではない
そもそも論として、融資の最終決定(審査)をするのは目の前の担当者ではありません。支店長や本部の審査部です。
担当者はあくまで、あなたの会社の情報を審査部に伝える「メッセンジャー」にすぎないといえます。もちろん担当者の熱意も大切ですが、それ以上に「審査部が納得する客観的な材料」が不可欠なのです。
担当者が優秀であれば、社長の雑談から材料を拾い上げてくれますが、そうでない担当者の場合、重要な情報が審査部に伝わらないことさえあります。
担当者の能力に左右されない「再現性のある」銀行対応3つのポイント
では、どうすれば担当者の当たり外れに関係なく、安定して融資を受けられるようになるのでしょうか。きょうからできる3つのポイントを紹介します。
① 「口頭」ではなく「資料」で語る
優秀な担当者は、社長の断片的な話からでも素晴らしい稟議書を書き上げます。しかし、そうでない担当者は情報を聞き漏らしたり、ニュアンスを誤って伝えたりしがちです。
再現性を高めるコツは、自社の強みや今後の計画をA4用紙で1〜2枚ていどの「説明資料」にまとめて渡すことです。
- なぜ資金が必要なのか
- どうやって返済するのか
- 事業の将来性はあるのか
これらが書面になっていれば、担当者はそれを添付するだけで済みます。担当者の能力に関係なく、審査部に正確な情報が伝わる仕組みを作るのです。
② 銀行員が喜ぶ「共通言語」を使う
銀行員には、特有の思考回路や「共通言語」があります。
たとえば、「来期は売上が伸びます!頑張ります!」と言うよりも、「〇〇の要因により、経常利益が前期比△%改善する見込みです。その根拠は…」と数字とロジックで語るほうが響きます。
担当者が稟議書を書きやすい言葉で伝えることで、審査がスムーズに進む確率はグンと上がります。「翻訳」の手間を相手にかけさせないことが、スマートな対応です。
③ ふだんから「聞かれていないこと」も報告する
融資を申し込むときだけ連絡してくる社長と、普段から月次試算表を送り、会社の状況を報告してくる社長。どちらが信用されるでしょうか。
良い担当者はマメに連絡をくれますが、受け身の担当者からは連絡がきません。
だからこそ、こちらから能動的に情報を開示し続けることが重要です。担当者のやる気に依存せず、信頼関係のベースを自ら築いておきましょう。
まとめ
良い担当者との出会いは大切にしつつも、それに依存してはいけません。
- 銀行員は転勤する。「運任せ」の資金調達は危険。
- 担当者はメッセンジャー。審査部を納得させるのは「資料とロジック」。
- こちらから能動的に動くことで、担当者の能力差をカバーできる。
最高の銀行対応とは、どんな担当者が来ても、どんな環境であっても、必要な資金を安定して調達できる「再現性のある仕組み」を社内に持つことです。

