神社仏閣巡りや美術館鑑賞をより深く楽しむために、単眼鏡を買ってみました。スマホや双眼鏡とは違う、その魅力と選び方についてお話しします。
趣味の時間を「体験」に変える秘密兵器
最近、神社仏閣巡りや美術館鑑賞をより深く楽しむために、あるアイテムを購入しました。それが、単眼鏡(たんがんきょう)です。
ちなみに今回、僕が選んだのは、ケンコー(Kenko) の「ギャラリーEYE 4×12」という製品になります。
ケンコー(Kenko) 「ギャラリーEYE 4×12」
(リンク先はAmazonの商品ページです)
実際に使ってみると、「もっと早く買えばよかった!」とおもうほど、鑑賞の世界が変わりました。肉眼では見えなかったディテール(細かい部分)が飛び込んでくる感覚は、単なる「鑑賞」を、鮮烈な「体験」へと変えてくれます。
というわけでこのあと、なぜ双眼鏡ではなく単眼鏡なのか、数あるなかでなぜこの製品を選んだのか、そして実際に使ってみて感じたメリットについて書いてみます。
そもそも「単眼鏡」とは?双眼鏡やスマホとの違い
単眼鏡とは何か
単眼鏡とは、その名のとおり「片目だけで覗く望遠鏡」のことです。双眼鏡が両目で見るのに対し、単眼鏡は筒が1本だけのコンパクトな形状をしています(画像を参照)。

もともとは視覚障害のある方の視力補助や、遠くを確認するための道具として使われていたアイテムですが、近年では「美術鑑賞」や「刀剣女子」「仏像マニア」などのあいだで、必須アイテムとして注目されているようです。
双眼鏡やスマホではダメなのか
「遠くを見るなら双眼鏡でいいのでは?」「スマホのズーム撮影で十分では?」
僕も最初はそうおもっていました。ですが、実際に比較してみると単眼鏡独自の強みや面白さが見えてきます。
まず、双眼鏡との違いです。美術館や静かなお寺で双眼鏡を構えると、どうしても「監視している」「本気すぎる」ような威圧感が出てしまうでしょう。その点、単眼鏡なら手のひらに収まるサイズ感なので、周囲に威圧感を与えず、スマートに鑑賞できます。
ポケットからサッと取り出せる軽快さも魅力です。
次に、スマホとの違い。スマホで写真を撮ってあとで拡大して見るのと、その場の「光」をレンズを通して直接網膜に届けるのとでは、感動の生々しさが違うことはわかるでしょう。
スマホのデジタルズームはどうしても画質が劣化しますが、光学レンズの単眼鏡はクッキリと細部まで見えます。
なにより、スマホはどうしても通知が気になったり「記録」作業になりがちです。この点、単眼鏡は純粋な「鑑賞」に没頭できる点が決定的に異なります。
失敗しない「単眼鏡の選び方」3つのポイント
今回、単眼鏡の購入にあたって、じぶんなりにいろいろと調べました。その結果、美術鑑賞や神社仏閣めぐりで使う場合に重要なのは、以下の3点だと考えます。
ポイント1:倍率は「4倍〜6倍」がベスト
「倍率は高いほうがいい」とおもいがちですが、美術鑑賞であれば4倍〜6倍が推奨されます。
8倍以上の高倍率になると、手ブレが大きくなり、さらには視野が狭くなるため、絵画全体や仏像の表情を捉えにくくなります。また、視界が暗くなりやすいのもデメリットです。
いっぽうで4倍ていどであれば、手ブレしにくく、明るく広い視野で見られます。すると単眼鏡を覗き続けて酔ってしまった…という事態を避けられるのもメリットです。
ポイント2:「最短合焦距離」が短いこと
これは「どれくらい近くのものにピントが合うか」というスペックです。
美術館などではガラスケースの直前(数十センチ)から見ることがあるでしょう。このとき、遠く専用の単眼鏡だと、近くにピントが合いません。なので、「最短20cm前後」でピントが合うモデルを選ぶのがおすすめです。
ポイント3:明るさとクリアさ
薄暗いお堂のなかや、照明を落とした展示室で使うため、レンズの明るさは重要です。安価な製品だとレンズの品質が悪いこともあり、像がぼやけたり暗かったりしてストレスになります。
僕が「Kenko ギャラリーEYE 4×12」を選んだ決定的な理由
前述のポイントをふまえて、数ある単眼鏡のなかから、僕がこのモデルを選んだ決め手は、以下のスペックを満たしていたからです。
- 倍率4倍で手ブレしにくい
- 最短19cmまで寄れる(まさにギャラリー仕様)
- クリアな視界(レンズメーカーKenkoならではの明るさと解像度)
そして、なにより他社製品と比較して購入の決め手となったのが、「視野の広さ」です。
「ギャラリーEYE 4×12」は、実視界が12度もあります。他社製品の多くはこれより狭いことがほとんどなので、その分広く見えます。
なお、ギャラリーEYEには6倍の製品もあるのですが、実視界は9.3度まで狭まるため、僕は実視界がより広い4倍のほうを選びました。
いちどに広い範囲が見えるということは、見たい対象をパッと見つけやすいということです。高倍率のレンズを覗いたときに「あれ、どこを見ているんだっけ?」と迷子になるストレスを感じにくくなります。
覗いていて疲れにくい、というのが僕にとっては魅力でした。
また、アイレリーフ(接眼レンズから目までの距離)が長いので、眼鏡をかけたままでも全視野がケラレずに(端が欠けずに)見えるのも、眼鏡っ子の僕には嬉しいポイントです。
単眼鏡を使って感じた3つのメリット
実際に「ギャラリーEYE」を首から下げて、お寺や美術館に行ってみて感じたメリットは、単に「大きく見える」だけではありませんでした。
とにかく手軽に持ち運べる
重さは単三電池数本分ていど(53g)です。ポケットやサコッシュなんかに入れておき、「あっ、あれ何だろう?」とおもった瞬間にサッと取り出せます。荷物にならないので、常に持ち歩くことが可能です。双眼鏡となるとそうもいかないでしょう。
「いま、ここ」に集中できる
片目でレンズを覗くと、周囲の余計な情報が遮断され、視界が丸く切り取られます。まるで映画館でスクリーンを見ているような感覚になり、対象物とじぶんだけの世界に入り込めます。
これは、スマホ越しの鑑賞では得られない、深い没入感です。いわゆるマインドフルネス(いま、ここに集中)に近い感覚かもしれません。
視える喜び・発見の感動
肉眼では「綺麗な絵だな」「立派な仏像だな」でおわっていたものが、単眼鏡を通すと別世界に感じられるものです。
たとえば、遠くにある観音様の顔も、肉眼では表情まで読み取ることは難しいですが、単眼鏡を使えば、その慈愛に満ちた表情や、経年変化による木目の美しさまでハッキリと見て取れます。解像度が上がるのです(見え方のイメージは、公式ページが参考になります)
「神は細部に宿る」と言いますが、日本画の筆のタッチや、お寺の屋根瓦の細工など、作り手の息遣いまで聞こえてきそうなディテール(細かい部分)が見えた瞬間、鑑賞がただの「見る」から「体験する」に変わるはずです。
まとめ
単眼鏡は、けしてマニアだけのものではありません。「もう少しよく見たいな」という純粋な好奇心を、手軽に、そして最大限に満たしてくれる魔法の道具だといえます。
神社仏閣や美術館などに行く予定がある方は、ぜひポケットに単眼鏡を忍ばせてみるのはいかがでしょうか。いままで見えていなかった新しい世界に出会えるかもしれません。

