銀行融資を受けている会社の社長は、「実質金利」を計算しましょう。と言われても、実質金利とは何なのか?知らずにいると、融資が受けにくくなるので注意が必要です。
ここでいう実質金利とは?
銀行融資を受けている会社の社長は、「実質金利」を計算しましょう。これが、今回の結論です。ここでいう実質金利とは、「(支払利息−受取利息)÷(借入金−預金)」で計算される金利を指します。これを計算していない社長は、けして少なくないようです。
ところが実質金利を計算していなかったり、そもそも実質金利を知らないようだと、銀行融資で損をすることになります。融資が受けにくくなる、受けられても融資条件が悪くなるということがあるのです。と聞けば、「それはイヤだ」とおもわれるでしょう。
そこで、実質金利について次のようなお話をします。
- 銀行は実質金利を見ている
- 社長は表面金利を見ている
- 預金をどこにあずけるのか
これらを理解することで、実質金利を銀行対応に活かせるようになります。結果として、融資が受けやすくなり、融資条件をよくすることもできるはずです。実質金利と言われてもよくわからない…というのであれば、このあとのお話をいちど確認しておきましょう。
銀行は実質金利を見ている
冒頭、「銀行融資を受けている会社の社長は、実質金利を計算しましょう」と言いました。なぜなら、おカネを借りる側の社長が実質金利を計算せずとも、おカネを貸す側の銀行は実質金利を必ず計算しているからです。ここにまず、情報格差があります。
具体例で確認してみましょう。A銀行に対する借入金が3,000万円、その金利は2%、いっぽうでA銀行にあずけている預金が2,000万円という会社があったとします。これを、前述した実質金利の算式にあてはめて計算してみましょう。
実質金利=(支払利息60万円−受取利息0万円)÷(借入金3,000万円−預金2,000万円)
これにより計算すると、実質金利は「6%」です。表向きは「2%」という金利でありながら、A銀行は実質的に6%もの金利で融資をしている。銀行としては「儲かっている」といえる状況です。
なお、算式の後半「借入金−預金」は、「預金で返済したあとに残る借入金」をあらわしています。つまり、預金分の借入金は無いのといっしょだとする考え方です。
A銀行は表向き3,000万円のおカネを貸していますが、預金を2,000万円あずけてもらうことで、実質的には1,000万円しか貸していないことになります。だとすれば、実質的には1,000万円の融資で、60万円の利息を稼いでいるので、実質金利は6%になるわけです。
ちなみに、受取利息とは預金利息のことであり、いまはまだ低金利ですから、話をわかりやすくするために受取利息はゼロとしました。「支払利息−受取利息」とするのは、「借入金−預金」の考え方と同じです。
以上をふまえて、銀行は実質金利を必ず計算しています。もはやいうまでもありませんが、銀行が各融資先について「実質的に、どれだけ儲かっているのか」を把握するためです。
社長は表面金利を見ている
銀行は実質金利を必ず計算している、と言いました。ところが、おカネを借りる会社、ひいては社長はといえば、必ずしも実質金利を計算していないようです。そもそも、実質金利という考え方を知らない社長もいます。
そのような社長が見ているのは「表面金利」です。表面金利とは、さきほどの例でいえば、「2%」の金利を指します。融資を受けるときに、銀行から提示される金利が表面金利です。よって、社長も表面金利は見ていますし、表面金利が高いか低いかは気にしているものでしょう。
そのうえで、表面金利が高いと感じれば「もっと金利を低くしてほしい」と交渉をしたり、あるいは表面金利が低い銀行を選んで融資を受けるという銀行対応は「あるある」です。ところが、そのような銀行対応は、会社にとってよいものとは言えません。
たとえば、表面金利が2%であるA銀行と、表面金利が3%のB銀行があったとします。では、金利を引き下げる交渉をするならどちらの銀行を選ぶでしょうか?
表面金利だけを見ていると、より金利が高いB銀行を選ぶことになります。では、A銀行の実質金利が6%、B銀行の実質金利が4%だとしたらどうでしょう?
表面金利ではB銀行が儲かっているように見えても、実質的に儲かっているのはA銀行だとわかります。だとすれば、A銀行のほうが金利を引き下げる「余地」が大きいということであり、交渉するならA銀行のほうがよいのではないか?と考えられるでしょう。
これは実際にもそのとおりであり、実質金利が高い銀行ほど、金利の引き下げに応じてもらいやすい傾向があります。よって、社長もまた表面金利だけではなく、実質金利を見ることが大切です。
預金をどこにあずけるのか
社長もまた実質金利を見ることが大切だと言いました。実質金利を銀行対応に役立てるためには、各銀行ごとの実質金利を計算する必要があります。もし、A銀行とB銀行、C銀行の3行から融資を受けているのであれば、3行の預金も確認して、3行それぞれに実質金利を計算するわけです。
その結果、3行の実質金利が出揃ったところで比較をします。前述の話からもわかるように、基本的には、実質金利が高い銀行から交渉をはじめるのがセオリーです。交渉内容は、金利の引き下げばかりではなく、プロパー融資や経営者保証なしの融資を求めるのもよいでしょう。
このとき、銀行側の対応が望ましいものではなかったらどうするか?
その銀行にあずけている預金を、他の銀行に移すという選択肢があります。すると、預金を移した先の銀行の実質金利が上がりますから、交渉がしやすくなります。よって、預金をあずけていても(実質金利が高くても)、その効果が出ないのであれば、その預金はムダと考えて他の銀行への交渉材料にするのも1つの方法です。
ただし、預金を移されてしまった側の銀行はおもしろくないでしょうから、その後の関係性が悪くなることはありえます。そこは場当たり的(いま金利が低ければいい)にならないよう、注意は必要です。預金を移すにも、長い目で見てよい影響があるかどうかを考えましょう。
ここで押さえておきたいのは、預金をどの銀行にあずけるかで、融資の受けやすさや融資条件は変わりうるということです。なんとなくで預金をあずけていると、銀行融資には活かせず、もったいないことになってしまいます。
まとめ
銀行融資を受けている会社の社長は、「実質金利」を計算しましょう。そこで、実質金利について次のようなお話をしました。
- 銀行は実質金利を見ている
- 社長は表面金利を見ている
- 預金をどこにあずけるのか
これらを理解することで、実質金利を銀行対応に活かせるようになります。結果として、融資が受けやすくなり、融資条件をよくすることもできるはずです。