税理士に求められているのは、節税なのか。社長がほんとうに求めているのは、むしろ「おカネの不安を減らしてほしい」ことかもしれません。
税金は過去の整理、資金繰りは未来の設計。そんな視点から、これからの税理士の役割を考えてみます。
節税より先に、社長が気にしていること
税理士に求められていることといえば、まず「節税」を思い浮かべるでしょう。
もちろん、それは大事です。
ですが、社長の立場で考えてみると、
ほんとうに重要なものは別のところにあるのではないでしょうか。
来月の支払いは大丈夫か。
納税したら手元資金はどうなるか。
借入の返済と売上の見込みは釣り合っているか。
こうした不安のほうが、社長にとってはずっと切実だからです。
極端な話、会社におカネがあれば税金は払えます。
もちろん、税金は少ないほうがうれしい。
けれど問題の本質は、税金が高いことそのものより、
その税金を払ってなお資金が回るのかどうかにあります。
税金は「過去」の整理であり、資金繰りは「未来」の設計である
税金は、基本的には「過去」を整理する仕事です。
これまでの売上や経費、利益をもとに、
結果としていくらの税額になるのかを確定させる。
これは大事な仕事ですし、税理士の中心業務でもあります。
いっぽうで、資金繰りは「未来」の話です。
これから先、いつ、いくら入ってきて、
いつ、いくら出ていくのか。
足りるのか。足りないのか。
足りないなら、いつまでに何を打つべきなのか。
ほとんどすべての社長がこの不安を抱えています。
決算書がきれいでも、
納税額の説明がきちんとしていても、
来月の資金繰りが見えていなければ、社長は安心できないのです。
だからこそ、
社長は税理士に「税金のこと」だけでなく、
もっと広い意味でのおカネの安心を求めているのだと、僕は考えています。
社長が税理士に聞きたいのは、「税金」より「おカネ全体」のこと
顧問先から、こんな相談を受けたことはないでしょうか。
- いま借りても大丈夫ですか
- 銀行にはどう説明したらいいですか
- 納税すると資金繰りが厳しくなりそうです
- 設備投資をしたいけれど、キャッシュは持ちますか
- 借入が多い気がするのですが、このままでいいですか
これらは税務そのものではありません。
でも、社長は税理士に聞いてきます。
なぜなら、「いちばん近くで会社の数字を見ている専門家」だからです。
利益も、納税も、借入も、あるていどわかっている。
社長にとって税理士は、
「まず相談する相手」として自然な存在なのです。
つまり社長は、税理士を
「税金の計算をしてくれる人」としてだけ見ているわけではなく、
会社のおカネについて、まず話を聞いてほしい相手として見ているわけですね。
でも税理士は、ここで詰まりやすい
ここが難しいところです。
税理士は税務の専門家です。
ですから、融資や資金繰りの相談になると、
「銀行に相談してください」
「そこは銀行判断です」
「借りられるかどうかは何とも言えません」
そう返したくなることがあります。
実のところ、僕自身もその昔はそういう返しをしていました。
この返し自体は、間違いではありません。
融資の可否を決めるのは銀行です。
ただ、こう返したくなる背景には、
もう少し根深いものがあるようにおもいます。
じぶんの専門領域ではないから、踏み込んでいいのかわからない。
間違ったことを言って、あとで問題になったら困る。
そもそも何をどこまで返せばいいのか、型がない。
つまり、答える力がないのではなく、
どこまで踏み込んでいいかの線引きが見えない。
だから反射的に「銀行へ」で返してしまうわけです。
でも、その返しだけでおわると、
社長が求めているものには応えきれないことがあります。
社長が、聞きたいのは結論かもしれません。
「借りられますか?」「いくらまでいけますか?」と。
ですが、ほんとうに必要なのは、その手前の整理です。
そもそも何のために借りるのか。
いつまでに必要なのか。
借りないと何が起きるのか。
返済の見込みはあるのか。
銀行にどう見られそうなのか。
こうしたことが整理できて初めて、
銀行への相談もしやすくなるし、
融資を受けたあとの資金繰りも安定したものに変わっていきます。
その整理を手伝えるのが、税理士の立ち位置です。
税理士に必要なのは、「全部知ること」ではなく「整理して返すこと」
税理士が融資のすべてに答えられる必要はありません。
そこまで背負うと、しんどいでしょう。
でも、相談を整理することはできます。
たとえば、
試算表を見て、いまの状態を把握する。
借入の状況を確認して、返済の重さを見る。
資金繰りの見通しを聞いて、未来の詰まりを探る。
こうしたことを通じて、
社長の「なんとなく不安」を
論点のある相談に変えることはできるはずです。
それだけでも、社長の不安はかなり軽くなります。
いま何が問題なのか。
次に何を確認すべきなのか。
どこまでを税理士として整理し、
どこから先を銀行や他の専門家につなぐのか。
その順番が見えるだけで、相談対応はかなり変わります。
このギャップに気づいた税理士から、変わっていく
僕は、このギャップに気づいた税理士から、
社長との関係は変わっていくと信じています。
ただ、そう信じているだけでは届きません。
だから僕は、この考え方を発信だけでおわらせず、
形にして届ける手段をつくっています。
いま開催しているのは、税理士向けの少人数セミナーです。
ライブで相談対応の型を整理し、その場で腑に落としてもらう形式です。
それに加えて、いま教材の制作も進めています。
セミナーがライブで整理する場だとすれば、教材は手元に置いて実務で見返すためのもの。
相談の初動で何を聞き、何を見て、どう返すか。
その順番と型を、必要なときに開ける形にまとめたいと考えています。
セミナーの案内は、セミナー案内ページはこちら。
教材については、準備ができ次第あらためてお知らせします。
「節税できる税理士」から、「おカネの不安を減らせる税理士」へ
社長から見た税理士の価値は、
節税だけでは語りきれません。
むしろこれからは、
「おカネの不安を減らしてくれる税理士」
という価値が、もっと強くなるのではないでしょうか。
金利上昇という大きな変化もありますし。
税額だけでなく、
資金繰りや借入も含めて、
少なくとも相談の入口を整理してくれる。
そういう税理士は、
社長にとってとても頼もしい存在となるはずです。
税金の申告のときだけ頼る人ではなく、
おカネのことをまず相談したい相手になる。
そこに、関係性の大きな違いがあるのではないでしょうか。
いきなり全部できる必要はない
とはいえ、気負いすぎる必要はありません。
融資に強くならなければ…
資金繰りまで完璧に見られなければ…
銀行対応も全部わからなければ…
そこまで背負うと、正直しんどいですよね。
必要なのはまず、
相談を受けたときに固まらないこと。
何を聞けばいいかがわかること。
何を見ればいいかがわかること。
どう返すかの順番があること。
その土台があるだけで、
相談対応はかなり変わります。
すべてに答えられることより、
毎回ゼロから悩まないこと。
まずは、そこからでいいのだとおもいます。
まとめ
社長がほんとうに求めているのは、税金を減らすことだけではなく、おカネの不安を減らしてもらうことかもしれません。
この点、税理士に必要なのは、融資のすべてに答えられることではなく、相談を整理して、順番に返せることです。
その土台を持つところから始めてみませんか。
まずはセミナーで整理したいという方は、よろしければセミナー案内ページもご覧ください。

