社長に問う前に、じぶんに問う

社長に問う前に、じぶんに問う

「税理士が何もしてくれない」と社長から声が上がると、税理士界隈ではどんな返しが出るのか。それに対する、僕からの違和感の話です。

目次

「税理士が何もしてくれない」と言われたとき

SNSや日常の会話で、社長から「税理士が何もしてくれない」という声を聞くことがありますね。これに対する税理士界隈の返しが、けっこう似た形をしていたりします。

今回の記事では、その返しに対する違和感を、僕なりに整理してみました。

先に本記事の要点からいうと…

  • 社長と税理士のあいだには、最初から情報の非対称がある
  • 何を提供するかを示すのは、提供する側の役目だとおもう
  • メニューを示すには、社長の声をちゃんと聞く姿勢が要る

それでは、いってみましょう。

界隈で一般によく言われるのは、こんな返しです。

「税理士の業務範囲は、申告書の作成・提出。それ以外を求めるなら、別オプション」
「最初の依頼で、ちゃんと擦り合わせが必要」

つまり「依頼された仕事はやっている。社長が依頼内容を明らかにしないからだ」という構図です。

一見、筋は通っているようにも見えます。
でも、よく考えると、違和感もあるわけで。

情報の非対称は、最初からある

社長は、税理士の仕事の中身を、よくは知らないものです。
創業したばかりであれば、なおさらでしょう。
比較できる相手も、いない。

「税理士に何を頼んでいいか」を社長が言語化するには、税理士の仕事をある程度知っていることが前提になります。実際は、最初からその前提が成り立っていない、ということなのですね。

だとすれば、その状態で「依頼内容を決めてください」というのは、ちょっと乱暴かもしれません。

八百屋は、お客さまに決めさせない

たとえばなしをするのであれば、八百屋が「うちで何を売るかは、お客さまが決めてください」とは言わないのと同じで、何を提供するかを示すのは、提供する側の役目だとおもうのです。

「税務顧問」という曖昧なメニューで済ませず、じぶんの顧問契約に何が含まれているか、ちゃんと示せているか。

書き出してみるだけでも、意外とあいまいだったりします。
あいまいなまま売っている時点で、お客さまに「あいまいさ」もいっしょに渡してしまっているのかもしれません。

何を提供するかを示すのは、 提供する側の役目 なのです。

独立したばかりのころ、僕もそう書いていた

ここまで書きながら、ふとおもい出すことがあります。

独立したばかりのころなどは、僕自身もブログで「社長のほうから、税理士にやってほしいことを言いましょう」と書いていました。

いま読み返すと、頬がちょっと熱くなります。

当時の僕は、税理士側の役目を「依頼に応えること」と狭く捉えていたのです。社長の側に依頼内容を明確化する責任があると、考えていました。

でも、わりと最近になって「それも無茶な話だ」と気づきました。

社長は、税理士の仕事を細かくは知らない。
そういう状態で「依頼を明確にしてください」と言われても、できることは限られます。

なにが変わったか。
それは、「何を提供できるかを示す」のが先だ、と考えるようになったことです。

メニューを示すには、社長の声を聞く必要がある

「メニューを示すのは提供する側の役目」と言っても、一方的に提示すればいいわけではありません。

何を示すかは、社長の声を聞いて初めてわかるものです。

社長が、いまどんなことで困っているか。
何に時間を取られているか。
これから何をやりたいか。

それを聞かないまま「これがウチのメニューです」と差し出しても、たぶん的外れになります。社長から見ても、「これは自分には合わないな」と感じるはずです。

メニューを示すという責任には、社長の声をちゃんと聞くスタンスと行動が、セットでくっついている。

答えるより、まず整理する。
そんな姿勢が、ここでは効いてくるのですね。

社長の側の選択肢として

ここまでは税理士向けの話でしたが、社長の側から見ても、これは知っておいて損のない話だとおもいます。

「税理士が何もしてくれない」と感じたとき。

1つの選択肢として、税理士側から「税務顧問の内容を提案してもらう」という方法があります。社長から依頼内容を出すのではなく、税理士から「何を提供できるか」を提案してもらうのですね。

そして、複数の税理士の提案を比較してみる。
提案がない、提案があいまいな税理士は、それはそれで避ける理由になります。

「税理士の仕事の中身がわからない」社長にとって、税理士のメニューの示し方は、判断材料になるのです。

まとめ・社長に問う前に、じぶんに問う

最近、僕自身は税務顧問を受け付けていません。
ひとり仕事のリスク回避もあって、将来的にはスポット業務だけにしたいと考えているところです。

もちろん、それが正解だと言いたいわけではありません。
ただ「税務顧問」という曖昧な箱で売るより、スポット相談・教材・セミナー・1on1などで、それぞれ別の輪郭を持たせて提供するほうが、いまのじぶんには合っている、ということです。

社長に問う前に、じぶんに問う。
今回の記事のテーマです。

要点をまとめてみます。

  • 情報の非対称は最初からある。社長に「依頼内容を決めてください」は乱暴かもしれない
  • 何を提供するかを示すのは、提供する側の役目
  • メニューを示すには、社長の声をちゃんと聞くスタンスと行動が要る

最初の1歩

いまの顧問契約に何が含まれているかを、社長に伝わる言葉で、いちど書き出してみる。

書き出してみると、意外と「あいまい」が見つかるかもしれません。
そこが、メニューの示し直しの入口になります。

そして「何を提供できるか」を示すためには、まず「社長が何を抱えているか」を、ちゃんと聞かないと見えてきません。

答えるより、整理する。
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この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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