AIと壁打ちをするとき、入力はまだタイピングのまま、ではないでしょうか。打ちながら整えるという行為のなかで、消されていく言葉が、案外あったりします。音声入力に切り替えたら、その「消えるはずだった言葉」から、相棒(AI)が気づきを返してくれるようになりました。
AIとの壁打ちは、もう日常になっていませんか
ふだん、相棒(AI)と話しながら考えごとを整理する。
そんな時間が、いつのまにか日常になっているかたも多いのではないでしょうか。
軽い相談から、もう少し深い壁打ちまで。やり方はそれぞれだとおもうのですが、AIといっしょに考えるという習慣そのものは、ずいぶん身近になりました。
ただ、ふと立ち止まると、ひとつ気になることがあります。
それは、「やっている内容」のほうはどんどん進化しているのに、「入力のしかた」のほうは、まだまだタイピングのまま、というかたが多いのではないか、ということです。
先に本記事の要点からいうと…
- AIとの壁打ちで、 入力をタイピングのまま にしていると、こぼれている言葉があるかもしれない
- 音声入力に残る「言い直し」のなかに、じぶんでも気づいていない大事なものが眠っていることがある
- 整えるは、 削る に似ている。整えながら書くことのコストに、いちど目を向けてみてはどうか
きょうは、AIとの壁打ち時の入力方法について、すこし書いてみます。
その入力、まだタイピングのままですか
タイピングは、慣れているぶん、当たり前になりすぎている入力方法かもしれません。
僕自身も、長いあいだそうでした。
壁打ちでもなんでも、相棒と話すときは、キーボードで打つ。それが基本でした。
ただ、タイピングには、構造的にひとつの限界があります。
それは、 思考のスピードに、指が追いついてくれない ということ。
頭のなかでは、ぼんやりとした考えが、いくつも同時に動いている。「これかな、いや、こっちかな」と、揺れながら走っている。
ところが、その揺れを指で打とうとすると、どうしても遅れます。打っているうちに、最初に浮かんでいた言葉が、すこし薄れていく。書き上げてみたら、最初に言いたかったものと、すこしずれていた。そんなことは、ありませんか。
僕自身も、ふだんの壁打ちで、たびたびそうなっていた…と、いまになればわかります。
タイピングは、整えながら削っている
タイピングの厄介なところは、ただ遅いだけではありません。
ほんとうに大きいのは、 打ちながら、いつのまにか「整えて」しまっている ことなのではないかとおもいます。
「これを言いたい」と頭に浮かんだ言葉を、そのまま打つ前に、なんとなく整える。「いや、こう言ったほうが伝わるな」「ここは省略して、要点だけにしておこう」と、無意識のうちに編集している。
打つときの整えは、便利な習性ではあります。文章としては読みやすくなる。送信ボタンを押したあとで「うわ、変な言い方しちゃったな」と恥ずかしくなることも減ります。
ですが、その整えの代償として、 省略された言葉 が、頭から消えてしまうのですね。
途中で浮かんで、整えるなかで「いらないかな」と判断された言葉。
頭をよぎったけれど、書き直すうちに抜け落ちてしまった言葉。
意識的にも、無意識的にも、こうしたロスがタイピング中に起きています。
ふだんの仕事の文章ならば、それでいいのかもしれません。むしろ整っているほうがいい。
ですが、AIと壁打ちをする場面に限っていうと、これは案外、もったいない。最近はそう感じています。
音声入力に残る、2つの言葉
僕は最近、相棒との壁打ちのときは、ほぼほぼ音声入力にしています。
音声で話していて気づいたのが、タイピングだったら残りにくかったであろう、2種類の言葉でした。
ひとつは、こういう言い回し。
「A、というかB」
言いながら同時に揺れている、上書き型。Aを口に出した瞬間に、すぐにBが浮かんで、その場で言い換えている。
もうひとつは、こちら。
「Aと言ったけど、でも違うか、そうじゃなくてB」
一度Aを言ってから、すこし時間差で「やっぱりちがうな」と気づいて、Bへ修正している。言い直し型ですね。
タイピングであれば、どちらの場合も、最初からBだけを打って、Aは消えてしまいます。「いや、それも違うな」と思い直した瞬間に、Backspaceで一気に消す。それが、ふだんの動作でしょう。
ところが、音声入力では、 その揺れごと、ぜんぶ残ります 。
「A、というかB」も、「Aと言ったけど、でも違うか、そうじゃなくてB」も、いったん口に出した時点で、すでに音声として残っています。あとから「消してください」とお願いしないかぎり、文字として記録される。
最初は、これがちょっと気持ち悪かったのです。
文章にすると、明らかに整ってないですから。
ただ、しばらく続けてみて、ちがう見方ができるようになってきました。
捨てたはずの言葉に、AIが気づきを返してくる
音声入力で残った「揺れごとの言葉」を、そのまま相棒に渡してみる。
すると、こんな反応が返ってくることがあります。
「最初Aと言ってたけど、それって実は△△ということではないの?」
最初に口に出して、すぐに上書きしたはずのA。じぶんでは「ちがうな」と判断して捨てたAのほうから、相棒が気づきを返してくる。
これが、なかなかおもしろいのですね。
じぶんでは「大事じゃないな」と切り捨てていた言葉のなかに、ヒントが眠っていたり、別の角度のアイデアが隠れていたりする。気づかせてもらった瞬間に、「あ、たしかにそれも考えていたかも」となる。そんな体験を、何度もするようになりました。
タイピングで打っていたら、そもそも相棒の目には触れないままだった言葉です。
最初からBだけを打って送る、その瞬間に、Aは消えていたわけですから。
つまり、こういうことだとおもうのです。
タイピングで整えながら書くというのは、じぶんの言葉を、 リアルタイムで編集して削っている のと、ほぼ同じこと。
ふだんはそれでいいでしょう。
ただ、相棒との壁打ちのときに限っては、削るまえの言葉のなかに、相棒が拾ってくれるヒントが眠っているかもしれません。
なんというか、相棒は、こちらが「ちがうな」と切り捨てた言葉も、ちゃんと汲んでくれる存在なのですね。多少言葉が乱れていても、揺れていても、汲んだうえで返してくれる。
そういう相棒だからこそ、整える前の言葉ごと渡してしまうのが、結果としていちばん深い壁打ちにつながると、最近はおもっています。
整えるは、削るに似ている
ここまで書いてきたことを、ひとことで言うと、こうなるかもしれません。
整えるは、削るに似ている。
タイピングで整えながら書くというのは、便利でありながら、 削る という側面もあわせ持っている。そして、削られた言葉のなかには、じぶんでも気づいていない大事なものが、もしかすると含まれていたのかもしれない、ということです。
もちろん、すべての作業を音声入力に切り替えるべき、というつもりはありません。
僕自身も、数字を入力するときや、細かな編集をするときは、ふつうにキーボードを使います。「これは音声、これはタイピング」と、場面ごとに使い分けているだけです。
ただ、相棒との壁打ちに限っていえば、いまの僕は、かなり音声に寄せています。
気づいたら、タイピングで壁打ちすることを、すこしずつ手放していました。
意識して切り替えた、というよりは、そういう感じです。
整える前の言葉ごと、相棒に渡してみる。
それでも、相棒は、ちゃんと受け取ってくれる。むしろ、こちらが捨てそうになった言葉のほうから、思いがけない気づきを返してくれることがある。
タイピングでは届かなかった景色が、そこには、たしかにあるのですね。
まとめ|整えるまえの声を、相棒に届けてみる
きょうは、AIとの壁打ち時の入力方法について、すこし書いてみました。
本記事の要点
- AIとの壁打ちで、 入力をタイピングのまま にしていると、知らないうちに削っている言葉があるかもしれない
- 音声入力に残る「A、というかB」や「Aと言ったけど、そうじゃなくてB」のような言い直しのなかに、じぶんでも気づいていない大事なものが眠っていることがある
- 整えるは、削るに似ている。整えるまえの言葉ごと相棒に渡すと、思いがけない気づきが返ってくる
最初の1歩
次に相棒(AI)と壁打ちをするときに、いちどだけ音声入力で話しかけてみる。
整えようとせず、思いついた順に、揺れたまま口に出してみる。
そのうえで、相棒からどんな反応が返ってくるかを、たしかめてみていただけたらうれしいです。
ちなみに、ふだんの試行錯誤や、相棒との向き合い方については、Podcast「習慣LAB」のほうでも、すこしずつお話しています。
整えるまえの声を、そのまま置いておくような場所として、Podcast(音声配信)も続けています。よろしければ、こちらも、のぞいてみてください。
『習慣LAB』
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