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メインバンクの答え合わせは、困ったときにやってくる

「他行には、打診されましたか?」
業績が落ちて、資金繰りの相談に行ったとき。どの銀行でも、同じ質問が返ってきました。
複数の銀行と、バランスよく付き合っていたはずの会社の話です。

目次

「メインバンクはどこですか」には、答えられる

きょうは、複数の銀行と取引をしている社長に向けて書きます。

先に本記事の要点からいうと…

  • メインかどうかの答え合わせは、困ったときに、銀行の側からやってくる
  • 「変えるつもりはない」と「変えられない」は、動こうとするまで区別がつかない
  • だから平時に、メインにもサブにも、これからどう付き合いたいかを伝えて、立ち位置をすり合わせておく

「御社のメインバンクは、どちらですか」

そう聞かれて、答えに詰まる社長は、あまりいないとおもいます。

いちばん長く付き合っている銀行。いちばん多く借りている銀行。預金を置いている銀行。どれかがアタマに浮かんで、すぐに名前が出てくるはずです。

そのうえで、ほかにも2つ、3つの銀行と付き合っている。だから、いざというときも、どこかが助けてくれるだろう。

そう考えている社長は、少なくないのではないでしょうか。

ただ、ここにひとつ、確かめていないことがあります。

その答えは、銀行の側の答えと、合っているのか。

そして、合っているかどうかは、いつわかるのか。

「他行には打診されましたか?」

ある会社の話です(守秘義務は守りつつ)。

その会社は、複数の銀行と取引をしていました。それぞれの銀行から借りていて、融資の残高は、どこも似たような水準です。

1行に頼りきらず、バランスよく付き合っている。数字だけを見れば、そう見える形でした。

ところが、業績が落ちて、資金繰りの相談に行ったとき。どの銀行も、及び腰だったのですね。

こういう場面で銀行から返ってくる言葉には、たとえば、こんなものがあります。

まずは、

「他行には、打診されましたか?」

次に、

「他行さんの反応は、どうでした?」

そして、極端なケースでは、

「他行さんから借りたほうが、いいかもしれませんね」

念のため書いておくと、はじめの2つは、銀行としては自然な確認です。ほかの銀行がどう見ているかを聞くのは、おかしなことではありません。

引っかかるのは、どの銀行からも、同じ質問が返ってくることです。

どの銀行も、じぶんが最初に手を挙げる側だとは考えていない。少なくとも、相談の場には、そういう空気がありました(銀行の内心までは、わかりませんが)。

社長にとって、複数の銀行と付き合っていたのは、いざというときの保険だったはずです。

その「いざというとき」に、どの銀行も、お互いの出方を見ていた。

この会社は、何を見落としていたのでしょうか。見落としていたというより、確かめる機会がなかった、のほうが近いのかもしれません。

答え合わせは、困ったときに向こうからやってくる

「メインバンクはどこか」という問いには、社長の答えと、銀行の答えがあります。

ふだんは、そのふたつが合っているかどうかを、確かめる場面がほとんどありません。借りて、返して、ときどき担当者が顔を出す。平時は、どちらの答えのままでも、取引は続いていきます。

答え合わせがはじまるのは、困ったときです。

しかも、答え合わせを持ってくるのは、社長ではなく銀行の側。「他行には?」という質問は、その答え合わせが、向こうから届いた形だといえるかもしれません。

似たことは、ほかの形でも起こります。

預金も置いている。担保も差し出している。それなのに、出てきた融資の条件が、おもっていたよりずっと悪い。

困って相談しているのに、話をほとんど聞いてもらえない。

理由は1つではありません。銀行と会社の規模が合っていないこともあれば、業績を見て、銀行の側の位置づけがすでに下がっていることもある。担当者とのあいだに、しこりが残っていることもあります。

どれも、社長のなかでは「メイン」のままだった、という点は同じです。

もうひとつ、厄介なことがあります。

「銀行を変えるつもりはない」と「変えられない」は、外から見ると同じです。どちらも、いまの銀行と付き合い続けている。

そして、社長本人にも区別がつきません。

区別がつくのは、動こうとした瞬間です。借換えをしようとしたとき。ほかの銀行に相談を持ちかけたとき。

その瞬間は、たいてい、いちばん余裕がないときにやってきます。

ここで、少し厳しいことを書きます。

保険のつもりで分けた残高が、いざというときには、全員を「様子を見る側」にしてしまうことがあります。

とはいえ、分けて借りたこと自体は、まちがいではありません。1行に寄せすぎれば、その1行の都合に、会社の行方を預けることになります。

分けたかどうかよりも、分けた意図が伝わっているかどうか。そこに目を向けておきたいところです。

では、伝えるには、どうすればいいのか。

答え合わせを、こちらから前倒しする

僕が顧問先と一緒に意識しているのは、答え合わせを、平時に前倒しすることです。

困ったときまで待たずに、付き合っているすべての銀行と、立ち位置をすり合わせておく。

メインバンクだけではありません。サブバンクも、それ以外の銀行も、です。

といっても、サブの銀行に「御行はサブです」と、面と向かって言う必要はありません。さすがに、それは言いにくいですよね。

やるのは、メインのほうをはっきりさせることです。

メインの銀行には、融資残高のシェアを高く保っていること。それが、たまたまではなく、意図してそうしていること。これを伝えます。

メインのシェアと、その意図がはっきりすれば、その裏返しとして、サブの銀行にも、じぶんの立ち位置は伝わりやすくなります。

そのうえで、サブの銀行にも、伝えておくことがあります。

一定のシェアは、意図して持っていたいこと。これからも、継続して関係を築いていきたいこと。

きちんと伝われば、銀行の側も、その立ち位置に合わせた対応ができるようになります。すり合わせは、社長のためだけのものではなく、相手の銀行にとっても、どう動けばいいかがわかる材料になるわけです。

そして、伝わったかどうかは、相手の動きで返ってきます。

極端な場合、メインを超えるような融資の提案を、あからさまに持ってくる銀行があります。メインの座を、狙ってくるのですね。

逆に、サブの位置からも降りようとする動きが出てくることも、ありえます。

どちらも、良い悪いの話ではありません。 平時に届いた、答え合わせの結果です。

困ったときの答え合わせは、動きにくくなってから届きます。平時の答え合わせなら、まだ手が打てる。

では、そのすり合わせは、何を手元に置いてやればいいのか。

すり合わせの道具は、借入金一覧表

借入金一覧表は、どの銀行から、いくら、どんな条件で借りているかを、1枚にまとめた表です。

ふつうは、じぶんの会社の借入を整理するためにつくります。

僕は、これを銀行に見せながら話すよう、おすすめしています。

一覧表を見せると、会社の借入の全体像が、相手に伝わります。そのなかで、その銀行がどのくらいのシェアを持っているかも、ひと目でわかる。

「御行は、ウチにとって何番目です」と口で言わなくても、表が伝えてくれます。

そこに、メインには「このシェアは保っていきたい」、サブには「このくらいは持っていたい」と、意図を言葉で添える。数字と言葉がそろって、はじめて立ち位置が伝わるのだとおもいます。

ちなみに、序列は固定しなくてもかまいません。

いまのメインが、どうしても頼りにできない。そういうときは、サブの銀行をメインに引き上げていくこともあります。

ただ、その方針も、日々のやりとりのなかで伝えていくことが大切です。黙って残高だけを動かすと、そこでまた、社長の答えと銀行の答えが、ずれていきかねません。

1点だけ、注意を書いておきます。

メインをはっきりさせるといっても、1行にすべてを寄せる話ではありません。1行だけに寄せると、その銀行の方針が変わったとき、ほかに相談できる先がなくなります。

シェアに差をつけることと、1行に頼りきることは、別の話です。

まとめ|立ち位置は、こちらからすり合わせておく

きょうは、メインバンクの答え合わせについて書いてきました。

要点を、3つにまとめておきます。

  • メインかどうかの答え合わせは、困ったときに、銀行の側からやってくる
  • 「変えるつもりはない」と「変えられない」は、動こうとするまで区別がつかない
  • だから平時に、借入金一覧表を見せながら、メインにもサブにも、これからどう付き合いたいかを伝えておく。立ち位置が合っているかは、相手の動きが教えてくれる

最初の1歩

借入金一覧表を開いて、銀行ごとの行に、その銀行がウチにとって何番目なのかを、「メイン」「サブ」と1語ずつ書き込んでみてください。

一覧表がまだなければ、紙に銀行名を並べるだけでもかまいません。

すぐに書ける行もあれば、手が止まる行もあるはずです。

手が止まった行の銀行が、次にすり合わせる相手です。

いま付き合っている銀行は、ウチを何番目だとおもっているでしょうか。


どの銀行と、どのくらいの深さで付き合っていくか。すり合わせの前に、まずはそこを、じぶんの会社の目で眺めておきたいところです。

銀行ごとの関係の「浅い」と「深い」を、自社の取引に当てはめて眺める回を、無料メール講座 『銀行融資ラボ』 に入れています。

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よかったら、のぞいてみてください。

この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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