音声入力の本当の効き目は、行間にあった

音声入力の本当の効き目は、行間にあった

音声入力のメリットは、本当に「効率」にあるのでしょうか。以前は僕もそう考えていたのですが、生成AIと組み合わせて使うようになってから、もう一段奥にあるメリットが見えてきました。最近、その輪郭がだいぶつかめてきたので、ここに整理しておきたいとおもいます。

目次

「摩擦」の話の、その先にあったメリット

今回は、ひとつのテーマで書いてみます。
「音声入力の本当の効き目は、効率ではなく『行間』にあるのではないか」という、最近の僕の実感です。

先に本記事の要点からいうと…

  • 音声入力の本当の効き目は、効率だけではなく「行間まで手渡せる」こと
  • キーボードで打つと、頭のなかで整理した言葉に置き換わり、細部が削れる
  • 削られた細部こそが、じぶんらしさのタネ/生成AIが気づくとっかかりになる

それでは、順を追ってお話ししていきましょう。


前回のブログでは、音声入力の効き目を「摩擦が減ること」として書きました。

[前回記事「タイピング派こそ、音声入力で発信が加速する」のリンク]

タイピング派のじぶんが、なぜ音声入力に切り替えたのか。
速さで勝てるわけではなかった。でも、思考の流れが止まりにくくなった。
その変化を、「摩擦が消える」と表現したのですね。

この話は、いまも撤回するつもりはありません。
ただ、当時の僕は、音声入力を「書く効率を上げる道具」として捉えていたとおもいます。

その捉え方が、最近、すこし変わってきました。
きっかけは、生成AIとの組み合わせです。

キーボードは、整理した言葉しか通さない

もちろん、キーボードが悪いという話ではありません。
ただ、僕の場合、キーボードに向かうと、どうしても「整った言葉」から出そうとしてしまうのですね。

音声で話している僕と、キーボードで打っている僕では、出てくる言葉がちがう。
これは、使ってみると、すぐにわかります。

キーボードで打とうとすると、どうしても、頭のなかで整理した言葉に置き換わるのですね。
「これを書きたい」と頭で固めてから、指に下ろす。
そのあいだに、細部が省かれていきます。

口にすればこぼれていたはずの言いかけ、ためらい、繰り返し。
打つには面倒なそれらが、無意識のうちに削られていく。

意識的に削っているわけではありません。
キーボードの労力が、無意識のうちに行間を落としている、というイメージです。

削られた細部のなかに、じぶんがいる

最初は、それでもよかったとおもっていました。
細部が削られて、整理された文章が残るのなら、そのほうがいいじゃないか、と。

でも、生成AIと組み合わせて使うようになってから、見え方が変わってきたのです。

たとえば、音声で話しているときに、こんな言葉が、そのまま残ります。

  • 「いや、そうじゃなくて」
  • 「たぶん、ここが気になっている」
  • 「ほんとうは、ちょっと違うかもしれない」

キーボードなら、たいてい消してしまう言葉です。

喋るのであれば、もっと丁寧に、順を追って話せるはずなのに、キーボードで打つとなると、無意識のうちに文章を整理して、細部を端折ってしまう。
「読みやすくしなきゃ」「短くしなきゃ」という意識が、いつのまにか、手の動きに混じり込んでいるのですね。

でも、あとから見返すと、その迷いのほうに、芯があったりするのです。

うまく言えていない言葉、論理が一段飛んでいる箇所、なぜか繰り返してしまう表現。
そういうところに、本人も気づかない手がかりが、けっこう埋まっています。

整理されたあとの文章には、もう残っていない手がかりです。

生成AIは、そのタネに気づける

そして、生成AIは、その削られそうな細部に、気づける相手なのですね。

僕がほとんど整理せずに話したメモを渡すと、こんなふうに返ってくることがあります。

  • 「ここ、何度か言い直しているよね?」
  • 「ここの飛びかた、なにか引っかかってない?」
  • 「同じ言葉を繰り返しているのは、こだわりがあるから?」

僕が見落としていた違和感を、向こうから拾ってくれるのです。
じぶんでは見えていなかった輪郭が、すこしずつ立ち上がってきます。

これが、生成AIと組み合わせた音声入力の、いちばん大きな効き目だと、いまの僕はおもっています。

整えるのは、相棒と一緒にやればいい

音声入力なら、整理せずに、行間ごと渡せる。
頭のなかで固めなくていい。
整えるのは、生成AIと一緒にやればいいのです。

これは、「AIに丸投げで書いてもらう」という話とは、すこしちがいます。

何を考えるか。何を渡すか。
そこは、僕がやる。
整えていく作業は、生成AIと並走しながら、一緒にやる。

役割分担というよりは、 共同作業 の関係に近いです。

何を渡せるかが変わると、書く意味も変わる

ここまでの話を、すこし広げてみます。

音声入力を「効率化ツール」として捉えていたあいだ、僕は、音声入力に「速さ」と「ラクさ」を期待していました。

でもいまは、「じぶんでもまだ整理できていないものを、相棒に渡すための入口」として、音声入力を使っています。

何を渡せるかが変わると、書くという行為そのものの意味も、すこし変わってきます。

書くというのは、頭のなかで整理してから出力する作業だ、というのが、僕の以前の前提でした。
いまは、整理せずに口から出して、出してから一緒に整える、という流れに、すこしずつ寄ってきています。

「考える→書く」の順序ではなく、「話す→考える→整える」の順序、というイメージです。

まとめ・行間まで、手渡す

ここまでの要点を、もういちど整理しておきます。

  • 音声入力の本当の効き目は、効率だけではなく「行間まで手渡せる」こと
  • キーボードで打つと、頭のなかで整理した言葉に置き換わり、細部が削れる
  • 削られた細部こそが、じぶんらしさのタネ/生成AIが気づくとっかかりになる 最初の1歩

これから書きたいテーマがひとつあったら、ためしに、音声入力で最後まで整理せずに話してみてください。

言いよどみや言い直しを消さずに、そのまま残しておく。
そのメモを、生成AIに「読んでみてどう感じる?」と渡してみる。

返ってきた言葉のなかに、じぶんでも気づかなかった、ちいさな引っかかりが見えるかもしれません。


僕は、こうした「整理される前の言葉」を、Substack「モロトメジョーの独白」でも書きためています。

ブログにする前の、まだ整っていない感触。
固まりきらない、途中の考え。
そのぶん、行間がまだ残っている言葉です。

そういうものを、そっと置いている場所です。

モロトメジョーの独白(Substack)

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この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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