「早く独立したほうがいいですか」
もし、そう聞かれたら、僕の答えは「どちらともいえない」です。
逃げているように聞こえるかもしれません。でも、それが本音なのです。
「早く独立したほうがいいですか」
きょうは、いま勤めていて、独立を考えている税理士のかたに向けて書きます。「独立するなら、早いほうが得なのかな」と考えたことのあるかたへ。
先に本記事の要点からいうと…
- 独立は早いほうがいいのか。損得で見るかぎり、どちらともいえない
- 問いを替えると、独立したいという「感情」と、損得の「勘定」の、どちらが重いか
- 独立には相応のリスクがある。それでも感情のほうが重いなら、一度してみたら
「どちらともいえない」とだけ言って、話をおわらせることもできます。
ただ、この答えには、続きがあります。
その前に、なぜ、どちらともいえないのか。損得から見ていきます。
早さの損得は、どちらにも転ぶ
極端に言えば、税理士業務の経験がほとんどないまま独立すると、どう対応すればいいのかがわからず、戸惑うことが増えます。
人に聞くことはできます。
でも、情報と体験とでは、やはり違いが出るところです。
僕は、3か所の事務所に、あわせて20年弱勤めました。その年月は、ピンポイントの場面というより、 「ある程度の業務・お客さまに対応できる」 という安心材料と、知恵のベースになりました。どちらも、あくまで「ある程度」です。
いっぽうで、いまは情報が得やすい時代です。AIの力で、補える部分もあります。
おカネの面でも、どうせ失敗するなら、早く失敗したほうがリカバリーしやすい、という見方があるわけです。
僕自身、もっと早く独立すればよかった、とおもうこともあります。ただ、早ければ早いで、別の苦労と不安があったはずです。
こうして並べてみても、答えは出ません。
だとすれば、問いのほうが違うのかもしれません。
「感情>勘定」かどうか
早いか遅いかの前に、聞きたいことがあります。
独立、したいのでしょうか。
独立という環境や姿勢に、興味や関心、憧れがあるのか。
僕はこれを、 「感情>勘定」 かどうか、と考えています。
もちろん、勘定をしない、という話ではありません。算段が立たなければ、さすがに無謀です。
どちらも入っている。白か黒かではなく、グラデーションです。そのうえで、どちらが重いのか。
勘定のほうが重いなら、僕の答えは「どちらともいえない」のままです。
独立をおカネの損得だけで見ていると、いざ独立してみて、じぶんに合っていなかった、ということも起きやすいようにおもいます。
感情のほうが重いなら、こう言います。
独立には、相応のリスクがあります。うまくいかないことも、本当にあります。
それでも、したい気持ちのほうが重いなら、「一度してみたら」とおもうのです。
やらないと、やらなかった後悔が残ってしまうからですね。
おカネの損得は、結果です。それ以前に、じぶんの人生をどう生きるか、という話があるのだとおもいます。
では、そう言う僕の勘定は、どんなものだったのか。
僕の試算は、願望まじりだった
独立を決めたとき、僕も計算はしました。
- 最低限の生活費は、どれくらいか
- それを維持するには、どれだけの利益がいるか
- その利益を、どの収入で積み上げるか
単純な試算です。
でも、やってみなければわからないことばかりで、本当に試算でしかありません。ある意味では、願望が強く混じっていました。
当時の僕には、ひとり税理士という生き方への憧れがありました(体を壊していたことも、まざっています → なぜ僕は銀行融資と発信と習慣を発信しているのか)。
独立して感じたのは、なんでも好きなようにできるんだ、という自由の実感です。
勘定より、感情のほうが重かった。
ただ、ここまで書いて、「いや待てよ」とおもいました。
社長には、願望に頼らないでと言っている
僕は、創業しようとする社長に、計画をきちんと立てましょう、と話しています。
願望に頼らないために、悲観のシナリオも持っておきましょう、と。
それなのに、じぶんの試算は願望まじり。
矛盾しているのではないか。
最低限の生活費を前提に置いた点では、矛盾していない、と言えるのかな… そうもおもいましたが、収入の積み上げのほうは、願望だったわけです。
ふりかえると、「線」は、ありました。
1年めは、生活費を下回ってもいい。貯金があるからです。
それ以上の期間で下回るようなら、撤退を検討する。
独立したいかどうかを、計画は決めてくれません。
計画が見せてくれるのは、算段が立つかどうかと、外れたときにどうするか、のほうです。
そう考えると、社長に話していることとも、つながっている。
…と、おもいたいところですが。
本当に下回っていたときに、僕が撤退を決断できたかは、ナゾですね(笑)。
それに、損得が合いさえすればいいのか、という話もあります。
稼げても、つらいなら
独立すると、勤めていたときより稼げることも多いのかもしれません。
ただ、巷の発信などを見ていると、「ひとりは寂しい」「相談できる人がいないと不安」という税理士のかたもいらっしゃいます。1対1で聞いた話ではないとしても。
そう感じること自体が、悪いわけではありません。
ただ、ひとりで独立するとなると、「少しきびしいのではないか」と僕は見てしまいます。
たとえ稼げたとしても、不安が大きくなり、悩みが増えて、人生がつらくなるのであれば、どっちが幸せかという話になります。
僕の場合、損得で多少の心配や苦労があったとしても、いまの毎日が楽しいとおもえます。
性に合っている、ということなのでしょう。
と書いて、また引っかかりました。
本当に、そう言い切れるのか?
人生のABテストは、できない
「毎日が楽しい」は、独立を続けている僕の言葉です。
人間は、どこまで行っても、自己正当化する生き物です。
「早く独立を」も、「経験を積んでから」も、言っている本人の人生の片方から出た言葉です。僕も、片方しか生きていません。
もっと早く独立した僕と、20年弱勤めてから独立した僕を、並べて比べることはできない。
「人生のABテストは、できない」 わけです。
「どちらともいえない」のいちばんの理由は、ここにあるのかもしれません。
ダメならまた勤めればいい、と僕もおもっています。
おもっているだけです。
実際には、そうしたくないし、できないとおもいます。
だからこそ、損得の面でも必死になれる。
感情のほうが重いから、勘定に必死になれるのだとおもいます。
まとめ|その不等号は、どちらを向いているか
きょうは、独立を考えている税理士のかたに向けて書いてきました。
要点を、3つにまとめておきます。
- 独立は早いほうがいいのか。損得で見るかぎり、どちらともいえない
- 問いを替えると、「感情」と「勘定」の、どちらが重いか。どちらも入っているグラデーションの話
- 独立には相応のリスクがある。それでも感情のほうが重いなら、一度してみたら
最初の1歩
最低限の生活費と、撤退の線を、1枚に書いて控えておきましょう。
独立するかどうかは、決めなくてかまいません。
それを書いたあとでも、独立したいとおもうでしょうか。
独立してまもなく、僕はブログを書きはじめました。そこから考えてきた、発信を続けるための考え方を、3日にいちど、無料のメルマガでお届けしています。よかったら、のぞいてみてください。
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