単調な手作業で、考えることはほとんどない。
その工程が、僕は楽しくありませんでした。
ただ、やめたわけではないのです。
楽しくない仕事は、通り抜けるものだとおもっていた
きょうは、楽しくない仕事を抱えていて、けれどそれを減らせる立場にはいない、というかたに向けて書きます。
先に本記事の要点からいうと…
- 「楽しくない」は、乗り越えるものではなく、読むもの
- 鳴っているのは、中身か、工程か、カラダか。3つに分けられる
- 減らせなくても、工程なら替えられることがある
以前の僕は、楽しくない仕事は通り抜けるものだと考えていました。
やっているうちに慣れる。慣れれば、感じなくなる。
実際、そうやって通り抜けたものもありますから、まるごとまちがいだとも言いきれません。
ですが、いちど、カラダを壊しました。
あのとき積み重なっていたのは、大きな無理ではなく、小さな我慢のほうだった。いまは、そう捉えています。
大きな無理には、さすがに気がつきます。気がつけば、手も打てる。
やっかいなのは、わざわざ口に出すほどでもない、というサイズのものです。それが毎日、少しずつ積もっていく。
なので、いまは「楽しくないな」と感じたら、そこでいちど止まることにしました。
とはいえ、止まって我慢の量を数えるわけではありません。
「楽しくない」は、乗り越えるものではなく、読むもの
読みます。
僕にとっての「楽しくない」は、乗り越える対象ではなく、情報です。何かを知らせている合図なので、まずは、それを読む。
長いあいだ、読み取る中身は、おおよそ2つだとおもっていました。
- ①やらないほうがいいことを、やっている
- ②体調面で、無理をしている
①は、向きの問題です。じぶんがやらなくてもいいこと、あるいは、じぶんがやるとかえって遅くなることを、なぜか抱えてしまっている。
②は、仕事の中身とは関係がありません。同じ仕事でも、体調が落ちているときには楽しくなくなります。去年の僕がそうでした。
どちらにしても、 「楽しくない」は性格の問題でも、根性の問題でもない 、というのが僕の立場です。
センサーが鳴っている。それだけのことなのです。
ただ、この2つだけでは、読みきれないものが残りました。
楽しくなかったのは、中身ではなく工程だった
冒頭の、あの工程の話です。
僕はYouTubeで、社長向けと税理士向けに動画を出しています。撮って、編集して、テロップを入れる。この一連のうち、テロップを入れる工程だけが、どうしても楽しくありませんでした。
それでいて、手を止めるわけにもいきません。テロップがないまま出すという選択肢は、僕のなかにはなかったからです。
これを、さっきの2つで読むと、どうなるか。
①の「やらないほうがいいこと」に見えます。ですが、動画はやめたくありません。テロップも要ります。
つまり、読み取った答えが「やめる」しかないと、ここで詰まってしまうのです。
実際に起きたのは、別のことでした。
その工程を、相棒(AI)に渡しました。そうしたら、ラクになって、速くもなった。いまは、もう鳴りません。
嫌だったのは、テロップそのものではなかったのです。やり方のほうだった 。
ここで、線を1本引いておきます。
渡せたのは、そこに判断がなかったからではありません。テロップにも、どこで文を切るか、どこで改行するか、表記をどうそろえるか、という判断はあります。
ただ、それは、僕が決めなくてもいいことでした。
いっぽうで、何を話すか、どう伝えるか、どの順番で置くか。そこは渡していません。渡したのは、 じぶんが決めなくていいところ です。
そして、読み取りがもう1つ増えました。
③やり方が、合っていない。
3つめが入ると、読み方そのものが変わります。
鳴っているのが、どこなのかを分ける
「楽しくないな」と感じたとき、僕が分けているのは、この3つです。
- 中身:やること自体が、じぶんの向きと合っていない
- 工程:やることは要る。合っていないのは、やり方のほう
- カラダ:どちらでもなく、単に無理をしている
分ける順番があります。カラダ、工程、中身。この順です。
カラダを最初に置くのは、ここが鳴っているときは、何を読んでも「ぜんぶ、やめたい」に寄ってしまうからです。判断そのものが傾いている。だから、まず、そこを確かめる。
聞いてみるのは、「元気なときも、これは楽しくなかったか」。以前は平気だったのなら、鳴っているのはカラダのほうかもしれません。ここは判定というより、手がかりです。体調のほかに、状況も人間関係も変わっていることがあるからです。
つぎが、工程です。
ここを2つめに置くのは、いちばん手が早いからです。
仕事の中身を変えるには、たいてい相手がいます。契約もあれば、時期もある。すぐには動きません。ですが、やり方は、じぶんの側だけで変えられることがけっこうあります。
聞いてみるのは、「やることは残したまま、やり方だけを替えられないか」。
替えられそうなものが見つかったら、まずは替えてみます。それで鳴らなくなったなら、鳴っていたのは工程だった、ということです。先に見分けてから動くのではなく、替えて確かめる。テロップも、そうでした。そして、そのなかに、じぶんが決めなくていい部分があるなら、そこは渡せます。
さいごが、中身です。
聞いてみるのは、「やり方を替えても、これは残したいか」。替えても残したいとはおもえないのなら、鳴っているのは中身のほうです。
ここは、時間がかかります。すぐには動かせません。ですが、動かせないことと、読まないことは、別のことです。
読まずに通り抜けていると、それは、来年も鳴ります。
僕は、好き嫌いで選んでいます
ここまでは、方法の話でした。すこし、じぶんの話をします。真似してください、という話ではありません。
僕は、仕事を好き嫌いで選んでいます。
引き受けた仕事に手を抜く、という意味ではありません。その手前の、何を引き受けるか、というところで選んでいます。
なぜ、そうしているのか。
長く続けているうちに、じぶんがいちばん力を出せるのは、社長の判断を支えるところなのだと分かってきたからです。そこでは、僕が入ることで、変わるものがある。
だから、増やしません。顧問先を増やさない。税務相談も、積極的には受けない。そして、減らしています。
これは、断っている話に聞こえるかもしれません。ですが、僕にとっては逆で、残った会社に使える時間が増えるための設計 です。ひとりでやっている以上、時間の総量は動きませんから、どこかを減らさないかぎり、どこも厚くなりません。
とはいえ、この書き方をすると、誤解されそうなところが1つあります。
「楽しくないことはやらない」とは言っていません
僕にも、好きとは言えない仕事があります。ゼロにはできていません。
たぶん、これからもゼロにはなりません。
「楽しくないことはやらない」は、聞こえはよくても、ほとんどの人には成り立たない話でしょう。社長も、税理士も、楽しくない仕事を抱えたまま、それでも会社を続けています。
では、中身だと分かったときは、どうするか。動詞は「切る」ではありません。
増やさない。そのあとで、減らす。
順番は、逆にできません。いきなり減らそうとしても、目の前の仕事は減りません。まず、増やすのを止める。そのうえで時間が経つと、少しずつ減っていきます。
僕も、何年かかけて、いまの形になりました。速くはありません。
そして、減らせないものが残ったときに効いてくるのが、工程のほうなのです。中身は替えられなくても、やり方なら替えられることがある。テロップの話が、まさにそれでした。
まとめ|「楽しくない」は、読むもの
きょうは、楽しくない仕事との付き合い方について書いてきました。
要点を、3つにまとめておきます。
- 「楽しくない」は、乗り越えるものではなく、読むもの。性格の問題ではない
- 鳴っているのは、中身か、工程か、カラダか。カラダから順に確かめる
- 減らせなくても、やり方なら替えられることがある
最初の1歩
直近の1週間で「楽しくなかったな」と感じた仕事を、1つだけ書き出してみてください。
そのあとで、中身・工程・カラダの、どれが鳴っているのかに印をつける。それだけです。
たいていは、1つめの仕事で手が止まります。どれなのか、すぐには決まらないからです。その迷っている時間が、読んでいる時間なのだとおもいます。
その「楽しくない」は、乗り越えるものでしょうか。それとも、まだ読んでいないものでしょうか。
「じぶんが決めなくていいところ」 は、どこまでなのか。仕事によってちがいますし、僕も一発では線を引けていません。
じぶんの仕事のどこを相棒に渡して、どこは手元に残しているのか。行ったり来たりしているところも含めて、メルマガに書いています。
よかったら、のぞいてみてください。

