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「慣れてきたら」で、メニューは階段になる

「まずは顧問先からはじめて、慣れてきたら、スポット相談で顧問先以外も」
融資支援のメニューを、こう並べようとしていませんか。
その順番、難しさの順でしょうか。

目次

支援メニューは、どういう順に並べますか

きょうは、融資支援をこれからはじめたい税理士のかたに向けて書きます。

先に本記事の要点からいうと…

  • 支援メニューの並びは、難易度の順に見えて、種類のちがいであることがある
  • 順序を示す言葉がひとつ入るだけで、その並びは「階段」になる
  • 階段になると、見た人は「まだ早い」と言って止まる

先日、1on1をはじめる前の事前面談で、ある税理士のかたから、こういう話を聞きました。

融資支援をはじめたい。でも、支援メニューをどう考えればいいかわからない、と。

ただ、まったくの白紙というわけではありませんでした。下絵は、すでに持っていらっしゃったのですね。

「まずは顧問先からはじめて、慣れてきたら、スポット相談で顧問先以外も」

なるほど、とおもいました。そして、こう返しています。

「いいとおもいます。その流れを前提に、1on1ではメニューを考えていきましょう」

ここまでは、なんの引っかかりもない会話です。

引っかかったのは、あとになってからでした。

その2つは、難易度の順ではなく、種類のちがい

引っかかりの正体を書く前に、並びの中身のほうを見ておきます。

顧問先の融資支援と、顧問先以外のスポット相談。この2つは、何がちがうのか。

顧問先のほうは、前提を知っています。決算書も、社長の性格も、資金繰りのクセも、すでに手のなかにある。そのぶん、話は早いわけです。

いっぽうで、関係はその後も続きます。出した見立ては、来月も再来月も、じぶんに返ってきます。融資が実行されたあとの資金繰りまで、いっしょに見ていくことになります。

スポット相談は、逆です。前提を知らないところから入ります。決算書を渡されて、その場で読む。限られた情報と時間のなかで前提をつかんで、見立てを立てなければなりません。

ただ、支援には区切りがあります。はじめる時点で、おわりが見えています。

こうして並べてみると、「どちらかが上」ということは、たぶんないのです。

必要になる力が、そもそもちがう という言い方のほうが近いかもしれません。

前提を知ったうえで長く付き合う力と、前提を知らないまま短時間で立ち上げる力。どちらも要りますが、同じものではありません。

「慣れてきたら」が入った瞬間、並びは階段になる

さて、引っかかりのほうです。

さきほどの順序(顧問先→顧問先以外)に、番号は振られていませんでした。①も②もついていません。

それでも、こういう言葉が入っていました。

「慣れてきたら」

これだけです。これだけで、並びは階段になります。

慣れてきたら、ということは、慣れていないうちは無理だということです。つまり、あとに置かれたほうが難しい。難しいほうが、上。

種類のちがいだったはずのものが、順位のちがいに変わるわけです。

言い方を変えます。

レシピの①②③なら、番号はただの手順です。そこに上下はありません。

ところが、 選んでもらうために並べたものに番号を振ると、進むほど偉いという並びになるものです。

番号でなくてもかまいません。「まずは」「そのあとで」「慣れてきたら」。順序を示す言葉がひとつ入れば、同じことが起きます。

やっかいなのは、並べた側にその気がないことです。

親切のつもりで、順番を示しています。迷わせないように、と。ところが、示した順番のほうは、勝手に上下を語りはじめる。

「そんなつもりはなかった」は、並べた側の言い分でしかないわけです。

僕が見せていた地図にも、番号がついていた

ここで、じぶんの話を少しだけ書きます。

ことしの5月に、「揃ったコンテンツに、地図がいる」という記事を書きました。

ファネルをやめて、地図にしました、という話です。ファネルは方向を決めるけれど、地図は見る人のなかに問いを生む。決めてもらうのではなく、問いを立てるきっかけに。そう書いています。

その同じ記事のなかで、僕は当時の地図をこう説明していました。

① 知識 → ② 型 → ③ 体験 → ④ 実装

画像もつけて、載せています。

2026年5月に載せていた融資支援の地図

方向を決めない形だ、と書いた記事のなかに、①②③④が並んでいたわけです。

知識も型も体験も実装も、種類のちがいでした。本で足りる人がいて、教材で足りる人がいる。順番の話ではなかったはずです。

番号を振ったのは、僕でした。

「まだ早い」は、並べた側がつくっている

番号がつくと、何が起きるか。

後ろにあるものほど、先の段階に見えます。そして見た人は、じぶんの現在地を手前に置きます。

さきほどの事前面談の話に戻ります。

「まずは顧問先からはじめて、慣れてきたら、スポット相談で顧問先以外も」

あれは、 じぶんでじぶんに「まだ早い」と言っている 言い方でもあったわけです。顧問先以外のスポット相談は、まだ早い、と。

そして僕は、それを肯定しました。

あの並びが間違っていた、という話ではありません。顧問先からはじめるのは、実際に無理のないやり方です。決算書がすでに手元にあるのだから、当たり前でしょう。

引っかかっているのは、順序そのものではないのです。

「慣れてきたら」を、そのまま受け取った ことのほうです。

あそこで、こう聞けたはずでした。「その2つ、難しさの順ですか。それとも、やることのちがいですか」と。

聞いていれば、答えは変わったかもしれません。少なくとも、順番以外の並べ方が1つは出てきたとおもうのです。

番号を消したら、一行だけ残った

8月のおわりに、地図を作り直しました。番号は、全部消しています。

これが、おもっていたより手間でした。

作り直すたびに、消したはずの丸番号が、次に出てきた絵にまた並んでいるのです。①②③④。何度か、同じところをやり直しました。

形が、そのくらい染みついていたということなのでしょう。

そうして番号を消したあとに、何が残ったか。

一行だけ、5月のときに置いた言葉が、そのまま生きていました。

必要なところまでで、十分です。

5月の記事では、こう書いていました。「ここまで行く必要がない方もいます」と。

書いたときは、番号のついた階段の下に置いた一行です。だからどうしても、「途中で降りてもいい」という意味になっていました。

番号が消えたいま、同じ一行の意味が変わっています。

途中まで、ではありません。 そこが、その人にとって必要なところ だった、というだけです。

捨てたものと、残ったものが、はっきり分かれました。

番号を消したあとの地図は、こちらに置いてあります。正解ではなく、並べ方のひとつとして見ていただければとおもいます。

まとめ|番号は、種類のちがいを順位のちがいに変える

きょうは、支援メニューの並べ方について書いてきました。

要点を、3つにまとめておきます。

  • 支援メニューの並びは、難易度の順に見えて、種類のちがいであることがある
  • 選んでもらうために並べたものに、番号や「慣れてきたら」のような順序を示す言葉が入ると、種類のちがいが順位のちがいに変わる
  • 順位になると、見た人は「まだ早い」と言って止まる。並べた側に、その気がなくても

最初の1歩

  • いま、あなたが人に見せている並びを1つ書き出して、そこに入っているのが「順位」なのか「種類」なのかを見てみる

順位だったなら、それでかまいません。実際に難しさの順であることも、あるでしょう。

種類だったなら、並べ方はもう1つ増やせます。

あなたがいま見せている並びは、相手に順番を渡しているでしょうか。それとも、選択肢を渡しているでしょうか。


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この記事を書いた人

1975年生まれ、横浜在住。税理士、発信者、習慣家。2016年に独立以来、きょうまでブログは毎日更新中。近年は、銀行融資支援を得意な仕事にしている。借りれるうちに借りれるだけ借りよ、が口グセ
現在は1日1万歩以上、ひと月150kmほど走る。趣味は、コーヒーとサウナ、読書、散歩、アニメ。スタバでMacがマジカッコいい!と思い続けてる
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